力走で挽回したトヨタ8号車にまさかのレース後ペナルティ。4位を失う/WECモンツァ

 7月9日にイタリアのモンツァで行われたWEC世界耐久選手権第5戦モンツァ6時間レースで、当初4位でフィニッシュしていたトヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が、レース後、競技結果への50秒加算というタイムペナルティを科せられた。

 この結果、8号車は正式リザルトでは6位へと降格している。

 ブエミが3番手から6時間レースをスタートした8号車は、フェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499Pとのオープニングラップでの接触に加え、Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMRとの接触でもペナルティを科せられ、序盤にして大きく後退。ランキングトップでありながら、優勝戦線から早々に脱落してしまう。

 しかしそこから平川、ハートレーとつなぐなかで力走を見せ、徐々に順位を回復。最終ランナーのハートレーは残り15分のタイミングで、前をいく51号車フェラーリ、そしてポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963を立て続けにオーバーテイクし、4位まで順位を回復してチェッカーを受けていた。

 ところがレース後、現地時刻21時02分に発行された審査委員会のディシジョンNo.40では、「レースの190周目に、技術規則およびBoP(性能調整)で定められた、パワートレインからの最大放出パワーを超過した」として、5秒間のストップ&ゴーペナルティが科せられた。

 今回のレースのブルテンNo.3の規定により、レース後のストップ&ゴーペナルティにはピットロード走行分の仮想タイムとして45秒が加えられることになっており、これらを合わせ8号車には「最終レースタイムに50秒加算」という裁定が下った。

 なお、合計199周を周回した8号車にとっての190周目は、5時間46分経過時点にあたり、ちょうどハートレーがオーバーテイクを見せた時間帯と重なる。

トヨタ8号車のペナルティ内容を記したスチュワード・ディシジョンNo.40

 この結果、正式結果では4位に5号車ポルシェ(フレデリック・マコウィッキ/ミカエル・クリステンセン/デイン・キャメロン)、5位に51号車フェラーリ(アントニオ・ジョビナッツィ/アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド)が繰り上がり、8号車トヨタは6位へと順位を下げることとなった。

 これにより、ランキング首位の8号車トヨタの3人と、同3位の51号車フェラーリの3人との差は、23ポイントへと縮まっている。このペナルティがなければ、ハートレー/ブエミ/平川組は、51号車に対して29ポイントの差でモンツァを後にしていたはずだった。

 なお、ランキング2位はモンツァで優勝した7号車トヨタのトリオ(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)で、51号車のトリオと92ポイントで並んでいる。

トヨタのペナルティにより4位へと繰り上がったポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963

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