米海軍横須賀基地の有機フッ素流出 米軍「原因特定は困難」 今後は調査結果公表せず

防衛省の担当者から説明を受ける上地克明横須賀市長(右)=市役所

 米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)の排水処理場から人体に有害な有機フッ素化合物「PFOS」「PFOA」が海に流出した問題で、在日米海軍は10日、「原因特定は困難」とする調査結果を市に伝えた。排水を浄化するフィルターが正常に稼働していることを理由に、排水の採水調査結果を今後は公表しないことも明らかにした。

 流出原因究明のため、米側は排水処理場内の点検や関係者への聞き取り調査を実施。だが、排水処理場は広い基地内の水を処理していることから「原因の特定は困難」と結論付けた。

 米側が昨年11月に設置したフィルターを通過し、海に流される排水の採水調査については、結果を日本側に提供する考えはないことを説明。これまで5回の調査は、いずれも国が飲み水に定める暫定目標値を下回っており、「目標値を上回る水が排水される可能性が低い」ためという。

 米側は今後、採水調査を実施するのかを明らかにしていないため、上地克明市長は調査を継続し、特異な状況が確認された場合には公表するよう求めた。

 また、昨年12月に国、市、在日米軍が排水処理場の排水口近くの海域で採水した調査結果は、いずれも暫定目標値を下回っていたことを明らかにした。

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