コロナ禍で年長園児に4カ月の発達遅れ 交流減が影響か、京都大など調査

新型コロナウイルス禍が未就学児の発達に与えた影響を調査した佐藤助教(京都市左京区・京都大学)

 新型コロナウイルス禍を経験した2020年度と21年度の年長クラス(5歳児)の保育園児は、コロナ禍を経験しなかった園児と比べ、社会性や言語理解などの発達が平均約4カ月遅れていた、とする調査結果を京都大学などの研究グループが発表した。家族や保育士以外と交流する機会が減ったことが影響したとみられるという。11日に米学術誌に掲載する。

 研究グループによると、コロナ禍が未就学児に与えた影響の調査は世界で初めてとみられる。調査は2017年秋から21年秋にかけ、首都圏にある自治体の協力で実施。計440人の園児を対象に運動や言語など約130項目を評価し、発達月齢を推定する手法で、19年度に5歳児になった園児と、コロナ禍が始まった20年度と21年度に5歳児になった園児で差を比べた。

 その結果、コロナ禍を経験した園児の発達月齢は、コロナ禍未経験の園児を基準に比較したところ、5歳時点で平均4.39カ月の遅れがあった。項目別では、大人とのコミュニケーション能力が6.41カ月、主体的に言葉を話す力が5.64カ月と目立って遅れていた。コロナ禍を経験した園児の方が、発達のばらつきが大きかったという。

 3歳児についても分析したが、コロナ禍経験の有無で明確な差はなかった。

 調査を行った京大医学研究科の佐藤豪竜助教は「5歳児の約4カ月の遅れは留意すべき大きさだが、今後の支援で挽回可能な範囲だと考えている。マスク着用のルールなど施設ごとの対応が発達にどう影響したか、さらに調査を進めたい」と話している。

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