患者複数が死亡のカテーテル治療を中止 神戸徳洲会病院 市が2度目立ち入り検査、カルテに不備も

神戸徳洲会病院への立ち入り検査に入る神戸市職員=10日午後、同市垂水区上高丸1

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で特定の医師が携わったカテーテル手術の後、複数の患者が死亡したなどとする告発を巡り、同病院がこの医師の所属する循環器内科でカテーテル治療や検査を中止したことが関係者への取材で分かった。神戸市は10日までに2度の立ち入り検査を行い、医師の手術を受けた後に死亡した患者3人について、電子カルテの記載に不備があったことも判明した。

 同病院を巡っては、循環器内科の男性医師1人が手がけたカテーテル手術で、処置後に少なくとも患者5人が死亡し、他にも複数人の容体が悪化したとして、病院関係者らが神戸市などに告発文を送付。これを受けて市は5日に臨時の立ち入り検査を実施していた。

 カテーテルは医療用の細い管で、体内に挿入して治療や検査に用いる。関係者によると、7日に問題が表面化した後、同病院は循環器内科でのカテーテル治療や検査を当面中止すると決めた。問題の男性医師は1月に赴任し、1カ月で約40件のカテーテル手術を担当していた。

 神戸市は10日に2度目となる立ち入り検査を実施。この男性医師のカテーテル手術を受け、死亡した男女3人の電子カルテには容体が急変した際の記載がなかったり、患者の家族に治療の経過や死因を説明した記録が残っていなかったりしたことが分かったという。

 市はカルテの不備について、最新の診療記録などを反映するよう定める国の指針に抵触するとみて、行政指導を検討している。今後も対象を広げて調査を続ける。同病院は14日に「医療安全調査委員会」を設置し、適切な手術や治療が行われていたかを調査する。結果は公表する方針。

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