細胞と水がひとつになったことで生まれた正体不明の生きもので、『大阪・関西万博』公式キャラクターの「ミャクミャク」が街中に溢れている大阪。「コワ可愛い」として、オリジナルグッズも売り切れが続出するなど注目を集めている。
JR「大阪天満宮」駅改札前で発見! スキマモリ
同じく、少々ホラーテイストのビジュアルや設定が「コワ可愛い」とじわじわ人気を呼んでいるキャラクターが。2021年ごろから関西圏の駅を中心に出没し始めたキャラクター「スキマモリ」だ。
一見すると駅に潜む妖怪のような外見なのに、実は列車に乗ろうとする子どもたちを見守っているというギャップも相まって話題に。
SNS上でも、「このビジュアルで隙間から子ども守ってるのかわいい」「なんかクセになる」とファンを増やしているスキマモリだが、攻めたデザインにはどういったこだわりが込められているのだろうか? スキマモリを生み出した「JR西日本」(近畿統括本部)に話を訊いた。
「怖かわいい」ビジュアルが人気、JR西日本発の「スキマモリ」
■ 「ちょっと怖い」ビジュアルには意味がある?
──インパクトのあるキャラクターに気がとられがちですが、そもそもスキマモリにはどういった狙いが込められているのでしょうか?
スキマモリが誕生したのは、列車とホームの隙間に転落する事故のうち、子どもの比率が高めであることが背景にあります。
子どもやその保護者の方々に伱間事故の危険性を訴えるため、大阪市立デザイン教育研究所と大阪市立大学(現:大阪公立大学)と協働で2021年9月より「こども隙間転落防止プロジェクト」を立ち上げたことがきっかけです。2022年2月からは、プロジェクトに賛同した「東急電鉄」も加わり、活動エリアがさらに広がりました。
──ユニークなキャラクターですが、すごく真面目なプロジェクトから始まったんですね。ということは、基本的には子ども向けのプロジェクトなのでしょうか。
子どもがメインターゲットですが、保護者の方をはじめ、大勢のお客さまに見ていただければと思います。まずは認知をしていただき、そこから取り組みや趣旨を知っていただきたいですね。
また、スキマモリをきっかけに、子どもと大人の間で安全に対するコミュニケーションが図れるのではないかとも考えています。
怖いけど、なんか癖になる「スキマモリ」
──SNSでは「怖い」という声も上がるなど、なかなか癖のあるキャラクター設定ですよね。
子どもをメインにしているので「わかりやすく」はもちろんのこと、「興味を引くようなインパクト」や「物語として想像できる」というキャラクターや設定を意識しています。協議を重ねて「こわいけど、おもしろい」というコンセプトを決定。現在の「スキマモリ」が生まれました。
──「こわいけど、おもしろい」というフレーズはぴったりですね! ポスターを見るとちょっとホラーテイストだなと感じるのですが、意識しているのでしょうか?
鉄道事業者の意見がメインになると、どうしても保守的なキャラクターになりかねません。なので、コンセプトをもとに、あえて不思議な世界観を設定しました。
少々奇抜なキャラクターですが、体感のリアクションとしては9割方「好意的」だと認識しております。
──ちなみに、スキマモリはなんの生き物なんでしょうか。 名前やビジュアルを見ると、ヤモリやトカゲとか・・・?
『スキマモリ』は「謎めいている存在」です。なので、正体はご想像にお任せします。
◇
SNSで存在を知ったものの「うちの駅にはいない」と嘆く人もいるスキマモリ。JR西日本では大阪(1種)、京都・神戸・和歌山・福知山(各4種)、東急電鉄では全てのエリアで活動しているそうなので、ファンはぜひとも見つけてほしい。現在のポスターの掲出期間は8月31日までの予定(今後もバージョンの更新があった場合は差し替えになる可能性もあり)。
取材・文・写真/つちだ四郎