長崎・対馬の核ごみ調査 請願5団体から参考人招致 人口減、風評被害で賛否

 対馬市議会は10日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の第1段階となる文献調査の請願を審査する特別委員会を開いた。請願を提出した5団体の代表者5人を参考人招致。建設団体は急速に進む同市の人口減少を背景に調査受け入れを求め、反対する市民団体は対馬の風評被害につながると訴えた。
 賛成の立場では、建設4団体の代表者3人が出席。長崎県建設業協会対馬支部の原田繁盛支部長は「(調査受け入れで)国が対馬市の問題を受け止め、将来の持続的発展に向けた取り組みを強化することを希望する」と主張。「われわれ建設業界は、最終処分場は世界最先端の土木建設プロジェクトとして捉えている」とも述べた。
 市民団体「文献調査に反対する市民の会」からは2人が出席した。多田小夜子共同代表は「調査受け入れは1次産業や観光産業に大打撃を与えることは必至」と風評被害を懸念。「被爆県である本県の県民感情にも配慮すべき」「2007年の市議会による最終処分場誘致反対決議は現在も有効であり、これを受け止めるべきだ」と訴えた。
 特別委の委員からは、建設団体の従業員数や、市民の会が実施した署名活動などについて質疑があった。次回特別委は21日に開き、市議会での議論を求める市商工会や、調査に反対する漁業団体など計6団体の代表者らを参考人招致する予定。

© 株式会社長崎新聞社