被爆体験講話や講演 長崎市内で「歌と平和のつどい」 旅行者や市民、憲法9条の必要性など学ぶ

講演で憲法9条の重要性を強調した伊藤さん=長崎市岡町、長崎被災協地下講堂

 被爆体験講話と講演、歌を通して平和について考える「歌と平和のつどいin長崎」が8日、長崎市内で開かれた。市民や長崎県外からの旅行者約30人が集まり、核兵器の脅威や憲法9条の必要性などを学んだ。
 国内外でスタディーツアーを展開している富士国際旅行社(横浜市)主催。同社はフリージャーナリストの伊藤千尋さん(73)やシンガー・ソングライターの大熊啓さん(43)と一緒に、各地を巡るツアーを企画しており、同イベントは関東発着の長崎ツアーの一環で開いた。ツアーに参加した11人と長崎市民らが参加した。
 被爆体験講話では、被爆者の城臺美彌子さん(84)が、長崎に原爆が投下されるまでの経緯や当時の生活を説明。自身の経験を交え、核兵器廃絶への思いを語った。
 伊藤さんは、ウクライナ情勢を踏まえて憲法9条の重要性について講演した。伊藤さんは「国を守るという発想では、国境線の向こうは敵で、戦争になったら敵は殺すべきだという発想になり、軍拡競争につながる」と、政府が進める軍事費の増強を危惧。「憲法9条は国じゃなく個々の人間を守る。自分の国が平和ならいいという一国平和主義でなく、世界の人々のことを考えた世界的な憲法」と強調した。
 大熊さんがギターを弾き、参加者と歌うコーナーもあり、リクエストにも応えながら「青い空は」や「アンジェラスの鐘」などを歌った。
 埼玉県川越市から参加した西村由美子さん(71)は「被爆を経験した方から初めて話を聞き、追体験したようだった。みんなにも伝えなければいけないと感じた」と話した。

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