貴重な「ヘツカニガキ」満開 地元住民ら名所としてアピール 長崎・大村三浦地区

満開となりチョウが戯れるヘツカニガキの花=大村市日泊町

 長崎県大村市日泊町で「ヘツカニガキ」の花が見頃を迎えている。長年地元でもあまり知られていなかったが、昨年住民らが保存会を設立。今年はインスタグラムの運用も始め、地域の名所としてPRしている。
 ヘツカニガキはアカネ科の南方系樹木。7月上旬ごろ数日間のみ、球形でクリーム色の花を咲かせる。中国大陸南部や台湾、沖縄などに分布。日泊町がある同市三浦地区は九州西岸の北限域とみられる。
 「日泊辺塚苦木保存会」広報部長の迫頭裕二さん(56)によると、日泊町のヘツカニガキは約40年前、地元の植物研究家により存在が論文で報告された。近くの市立三浦小にも植樹されたが、その後は長らく忘れ去られていたという。
 3年前、同校に市民から「ヘツカニガキがあると聞いた」と問い合わせがあった。同校の事務主幹でもある迫頭さんが調べると、学校の沿革史に植樹が記されていた。過去の論文などを調べ、ツタに覆われたヘツカニガキを“再発見”。地元住民が周辺を除草してはっきり識別できるようになり、説明板も設置した。
 現在はインスタグラム(@hetukanigaki)でヘツカニガキの写真を随時更新している。今月に入り少しずつ咲き始め、大村湾と鮮やかなコントラストを見せている。迫頭さんは「貴重な木なので埋もれるのはもったいない。地元の人だけでなく広く知ってもらい、三浦地区を訪ねる人が増えてほしい」と話した。

クリーム色の無数の花が大村湾に映えるヘツカニガキ=大村市日泊町

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