「コリコリ食感が格別」シロイカ生け造り、さばきたて満喫 “繊細な”夏の味、但馬・香住に登場

旬を迎えたシロイカの生け造り=香美町香住区訓谷、「波音の宿 くろしお」

 日本海で旬を迎えたシロイカの生け造り(活イカ)を、兵庫県香美町香住区の宿や飲食店27カ所が「活イカ料理プラン」として提供している。さばきたての透き通る体や滑らかな食感を楽しめる。8月下旬まで。(長谷部崇)

 香住では、約20年前から活イカ料理をスタート。夏の名物として京阪神から多くの観光客が訪れる。

 ただ、シロイカはとても繊細な生き物で、人の手に触れるなど、外部から刺激を受けるとスミを吐いて弱って死んでしまう。取り扱いには細心の注意が必要で、安定的に供給できるようになったのは近年の話という。

 深夜から早朝にかけて、一本釣りや定置網で捕獲されたシロイカは、船の水槽に入れられ、海水を循環させて鮮度を維持。水揚げの際もかごで丁寧に扱われる。

 香住区の宿や飲食店に活イカを供給する「日本海フーズ かに市場」(同区香住)では、サイズごとに分けた13基の水槽で、常時150匹前後を保管する。水槽はシロイカが生息する水深約30メートルとほぼ同じ水温15度に保ち、穏やかな水流をつくっているが、山田直弘店長(59)は「少しでもショックを与えると興奮して死んでしまい、扱いが本当に難しい」と話す。

 漁師や仲買人の努力で、宿や飲食店に生きたまま届けられるシロイカ。料理人が腕を振るう姿造りは見た目も美しく、ワサビやショウガ、塩、スダチなどで味わう。ゲソは塩焼きなどで。このほか、地元で水揚げされた魚料理も楽しめる。取材で訪れた「波音(はおん)の宿 くろしお」(同区訓谷)では、オコゼの薄造りやノドグロの煮付け、アワビのステーキなどを付けるという。

 香美町香住観光協会の清水浩仁会長(68)は「生きているシロイカはコリコリの食感が格別。ぜひ香住に食べに来て」と話す。

 プランは、飲食店での食事が1人3980円から、宿の食事のみが同9千円から、1泊2食付き(夕食で提供)が同1万6300円から。全て要予約。参加店や料金は、香美町公式サイト「香美町観光ナビ」で。漁や仕入れの状況によって提供できない場合もある。

 香美町香住観光協会TEL0796.36.1234

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