教職員の96%「多忙感」 12年連続、前年度より増 「心身に不安」も7割以上

 県内小中学校で多忙感を抱く教職員の割合は96.1%に上ることが10日までに、県教職員協議会(栃教協)が実施した2022年度アンケートで分かった。前年度を1.8ポイント上回り、多忙感について調査を始めた11年度以降、12年連続で9割を超えた。多忙により心身の健康に不安を感じると回答した割合も75.2%を占めた。栃教協は、教育のICT(情報通信技術)化など次々に新たな仕事が生まれ、多忙感に拍車をかけていると指摘している。

 アンケートは22年6月、栃教協の会員のうち1919人を抽出して実施した。日々の業務の多忙感を「強く抱く」と回答した人は61.4%、「少し抱く」が34.7%だった。「あまり抱かない」はわずか3.1%。

 教職員の長時間労働などの改善に向け、県教委は19年度から「働き方改革推進プラン」に取り組み、26年度までに1カ月の残業を45時間以内などとする目標を掲げている。

 一方でアンケートでは、業務のスリム化について「あまり進んでいない」(36.7%)、「ほとんど進んでいない」(21.2%)と回答し、合わせると約6割に上った。子どもに1人1台のデジタル端末を配備する国の「GIGAスクール構想」など新しい教育政策に伴い、業務量が増加したとみられる。

 多忙感の解消策としては「教職員定数の改善」や「部活動の負担軽減」を求める声が多かった。仕事へのやりがいを「強く感じる」と答えた人は全体の34.1%で、10年前の46.1%から12ポイント低下した。

 休日の部活動を地域のスポーツ団体などに委ねる「地域移行」が進んだ後の指導に「携わりたくない」と回答した教員は40.1%で、種目や手当に応じて「携わりたい」とした40.9%と意見が二分した。

 栃教協の熊倉孝郎(くまくらたかお)会長は「新型コロナの落ち着きで業務の揺り戻しが起きている上に、国から降りてくる新たな方針にも対応していかなければならない」と現場の負担増を示した上で、適正な人的配置などを求めている。

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