「ヤッパリ紙の本」思い込めた看板、京都の書店に共感の声

年々電子書籍の売り上げが伸びる昨今。いつでもどこでも買うことができ、また持ち歩きも不要と便利な電子書籍を手に取る人も増えたのではないだろうか?

「ヤッパリ紙の本」という書が話題となった「山科書店」(ラクト山科外観・京都市山科区)

情報メディア『いーぶっかー』(本社:大阪市北区)による「漫画を読むなら電子書籍? 紙の本? 使い分ける?」のアンケート調査(全国の男女100人対象/2023年5月14日〜29日)によると、紙の本だけの人(41名)が1番多かったものの、使い分けをする人と電子書籍のみを利用する人を合わせると、59名が電子書籍を利用しており、やはり電子書籍の需要の高まりを感じられる。

そんななか先日、「ヤッパリ紙の本」とドドンと大きく記された書が、「正に紙対応」「わかる!」「紙の本をめくる瞬間が好き」とSNS上で話題となった。

この書が飾られているのは、京都・山科駅近くにある商業施設「ラクト山科ショッピングセンター」(京都市山科区)前。紙の本への思いを綴った、同施設4階「山科書店」の社長に話を訊いた。

■ 「紙の本が手に取れる街の本屋としてやっていければ」

──弊社も出版社で紙の本を出しているので、デカデカと書かれた「ヤッパリ紙の本」に大きくうなずいてしまいました・・・。なぜ今、この言葉を?

この書は先代の創業者と書家の方が考えて決めたものなので、どういった経緯でこれを書かれたのかは分からないんです。でも多くの人に見ていただけてうれしいです。

──以前も同じように書を飾っておられたのですか?

ここは1998年のビルオープン以来、我が書店の展示スペースです。おすすめの本などを飾っていたこともありますが、今回は書になりました。

──そうだったんですね。頻繁に変わるのでしょうか。

何年かに1度変えています。今回の書は3年ほど飾られると思います。

──社長さんご自身は「ヤッパリ紙の本」についてどう感じておられますか?

正直、私自身は紙か電子かで奪いあっている場合ではないと思っています。でも、紙の良さはたくさんありますし、特に小さなお子さんたちには紙の本を読んで欲しいなと思っています。ですので、これからもみなさんがすぐに紙の本が手に取れる街の本屋さんとして、やっていければと思います。

文芸はもちろん、京都コーナー、コンピューター関連書、趣味・実用書とカテゴリーごとに分類し、見やすい陳列を心掛けているという「山科書店」。絵本や音の出る本といった児童書の品揃えは好評だそうで、月1回、親子を対象に本の読み聞かせや紙芝居なども企画しているという。営業時間は朝10時〜夜8時まで。

取材・文・写真/野村真帆

山科書店

住所:京都市山科区竹鼻竹ノ街道町91 ラクト山科ショッピングセンター4F
営業:10:00~20:00
電話:075-592-9040

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