犬のいびきは放置しても大丈夫?3つの原因と病院を受診すべき心配な症状とは?

1.肥満体型や犬種による影響

犬がいびきをかく原因のひとつと考えられているのが、「体型」です。特に、肥満体型の犬はいびきをかきやすいとされています。

犬は肥満体型になると、首元や気管の周辺に脂肪がつくことで咽頭部を圧迫し、その結果空気の通り道が細くなっていびきをかくようになります。

肥満によって首まわりに脂肪が多くついていると、起きているときにも空気が通りにくい傾向は見られます。しかし、眠っている体勢でいるときの方が、より気管が潰れやすいので顕著に症状があらわれるようです。

また、鼻腔の空気の通り道が狭くなりがちな短頭犬種の犬も、いびきをかきやすいと言われています。ブルドッグやパグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズなど、いわゆる「鼻ぺちゃ犬」と言われる犬たちです。

短頭犬種は可愛らしい姿で日本でも家庭犬として人気がありますが、呼吸器系のトラブルが起こりやすい犬種でもあるので注意が必要です。

肥満体型や短頭犬種の犬が大きないびきをかいているときは、念のため動物病院で相談してみた方がいいでしょう。呼吸がうまくできない状態になってしまっている場合、チアノーゼを起こす可能性もあるため、放置しない方がいいと思います。

2.異物の侵入やアレルギー症状

普段はいびきをかかない犬がいびきをかいているとき、鼻腔内に何らかのトラブルや異常が起きていることが考えられます。

具体的には植物やハウスダストなどによってアレルギー症状が起きてしまっていたり、煙草やアルコール、香水のような犬にとって刺激となるにおいを嗅いで粘膜に異常が起きているということが考えられます。

鼻水が増えたり、鼻や喉の粘膜が炎症を起こして腫れてしまったりすると、当然空気が通る部分が細くなりますし、空気が通るときに異音が発生しやすくなります。このような現象が、いびきとなってあらわれるのです。

また、ドッグフードやおやつの欠片や植物の種など小さなものが、鼻の中に入ってしまっていたり、喉に引っかかっていたりするときもいびきをかくことがあります。くしゃみや咳をしていたり、「ヒューヒュー」といった呼吸音になっているときなどは、特に注意深く観察してください。

3.鼻腔の病気

犬がいびきをかくことが増えたり、いびきの音が大きくなったりしたときは、鼻腔内の病気を発症している可能性も考えましょう。いびきだけでなく、他にもいつもとは異なる様子が見られるときは、以下のような病気の可能性を疑ってみてください。

気管虚脱

気管虚脱は、気管が潰れて呼吸困難に陥る病気です。気管の周辺が脂肪などで圧迫されることでも発症するため、短頭犬種や肥満体型の犬に起こりやすいとされています。

いびきだけでなく、「グーグー」「ガーガー」といった変な音の呼吸や咳をしたり、口を開けて苦しそうに呼吸をしたりすることもあります。呼吸がスムーズにできていないため、呼吸困難になってチアノーゼで失神・昏倒することもあるので、注意が必要です。

軟口蓋過長症

軟口蓋過長症は、上顎の後方部分にある口腔と鼻腔を分ける軟口蓋が通常よりも長いことで異常が起こる病気です。軟口蓋が長いことで気道を塞いでしまい、呼吸がしにくくなり、呼吸困難になってしまうことがあります。

こちらも気管虚脱と同様に、短頭犬種に多い病気ですが、そのほかにチワワやレトリバー種でも多く見られます。

腫瘍

いびきは鼻腔内が狭くなっていることで起こることがあるため、鼻の中に腫瘍ができている場合にもいびきが増える傾向があります。

犬の鼻の中は見にくく、腫瘍を見つけるのもむずかしいでしょう。いびきだけでなく、鼻血が出たりくしゃみが増えたり、呼吸音が変わったりといった症状があらわれたときは、鼻の中に異常が起きていないか診察してもらうことをおすすめします。

まとめ

犬がグーグーといびきをかいて寝ている姿は、愛らしさも感じられて微笑ましく思うこともあるでしょう。

軽いいびきをかいている程度であれば、特に問題がないことも多いと思いますが、突然大きないびきをかくようになったり、いびきが日に日に大きくなっていったりした場合には、犬の体に何らかのトラブルが起きている可能性もあります。

少しでも様子がおかしいと感じたときは、念のため獣医師に相談して健康チェックをしてもらうといいでしょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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