理研、光量子計算機で「かけ算」 本年度中にも実機開発、公開へ

 理化学研究所や東京大のチームは12日、光を使った量子コンピューターで、これまで難しかった「かけ算」を可能とする仕組みを実証することに成功したと発表した。この仕組みを導入すれば応用範囲が広がるとして、本年度中に実機を開発し、クラウド上で公開したいとしている。

 チームによると、光量子コンピューターは、電子や光子などの微小な粒子に生じる「量子もつれ」という状態になった光を測定して計算に利用する。足し算や引き算はできていたが、かけ算は時間がかかるためこの状態を維持することが難しく、測定対象の光が失われるのが課題だった。

 チームは、事前に入力と出力の情報を書き込んだ「計算表」を作り、測定の回路に組み込むことで、計算速度を上げることに成功したという。

 理研の古沢明チームリーダー(量子情報科学)は「実機の開発に必要な最後のピースがそろった」と話し、性能の目安の一つとなる量子ビット数について「千ビット相当」を目指すとした。

© 一般社団法人共同通信社