【連載コラム】第20回:シアトル開催のオールスター・ゲーム 人気ナンバーワンはやはりフリオ・ロドリゲス

写真:ホームランダービーに出場したマリナーズのフリオ・ロドリゲス @Getty Images

シアトル時間ではさきほど日付が変わり、7月12日になりました。シアトルのT-モバイル・パークで開催された第93回オールスター・ゲームが数時間前にナ・リーグの勝利で幕を閉じ、5日間にわたるオールスター・ウィーク取材も全日程を終了。1日目はイチローさんや大谷翔平(エンゼルス)に関係するスポットを探し、2日目はフューチャーズ・ゲームとセレブリティ・ソフトボール、3日目はプレーボール・パークとドラフト、4日目は前日記者会見とホームラン・ダービー、そして5日目はレッド・カーペット・ショーとオールスター・ゲームと本当に盛りだくさんの5日間でした。

5日間を通して感じたのは、シアトルでのフリオ・ロドリゲス(マリナーズ)の人気の高さです。オールスター・ウィークのイベントを訪れているファンの大半がマリナーズのユニフォームを身につけており、ケン・グリフィーJr.やイチローさんといった「レジェンド」はもちろん、佐々木主浩さんのユニフォームや長谷川滋利さんのTシャツを着ている人も見かけました。現役選手では今年のオールスター・ゲームに出場していたルイス・カスティーヨやジョージ・カービーのユニフォームを着ているファンもいましたが、圧倒的に多いのはフリオ。グッズの取り扱い量もフリオだけ別格でした。

写真:オールスターゲームに出場したフリオ・ロドリゲス @Getty Images

ホームラン・ダービーでは1回戦で1ラウンドの歴代最多本数となる41本塁打を放ってT-モバイル・パークを熱狂の渦に巻き込み、優勝したブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)に準決勝で敗れはしたものの、球場には「フリオ!フリオ!」という熱い声援が響き渡っていました。レッド・カーペット・ショーでもフリオへの声援の大きさは圧倒的。オールスター・ゲームでは大谷への「カム・トゥ・シアトル!」というチャントも印象的でしたが、フリオへの声援はやはり大きく、9回裏二死からカイル・タッカー(アストロズ)が四球を選んで出塁し、フリオに打順が回ると、球場のボルテージは最高潮に達しました。シアトルでのオールスター・ウィーク開催はイチローさんのメジャー1年目である2001年以来22年ぶり。20年以上の時を経て、シアトルの「主役」の座をエドガー・マルティネスやイチローさんからフリオが受け継いだことを強く印象づけられた5日間でした。

フューチャーズ・ゲームの両リーグのコーチ陣にはマリナーズのOB選手が多く名を連ねており、そのうちの数人に話を聞くことができましたが、やはりフリオへの期待は大きく、ホームラン・ダービーでの優勝予想でもフリオの名前が挙がることが多かったです。グリフィーJr.を筆頭に、エドガー、イチローさん、フェリックス・ヘルナンデス、ランディ・ジョンソン、アレックス・ロドリゲスなど数多くのスーパースターを生み出してきたマリナーズですが、シアトルの街ではOB選手も含め、ほとんどの人が「次代のスーパースター」としてフリオに大きな期待を寄せています。

今季は6月まで低調で、当初はオールスター・ゲームのロースターから漏れていたフリオですが、ア・リーグの外野手に故障者が続出したことや7月に入って打率.342と調子を上げたことにより、代替選手として滑り込みで2年連続のオールスター・ゲーム出場が決定。代替選手としての出場が決まる前からホームラン・ダービーへの出場は決まっていましたが、ホームラン・ダービーとオールスター・ゲームという2つの大舞台でシアトルのファンの前に姿を見せることができました。

2000年12月29日生まれのフリオはまだ22歳。地元開催のオールスター・ウィークを経験した「次代のスーパースター候補生」が今後どんな成長や活躍を見せてくれるのか楽しみです。

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