彼氏が好きになったのは“既婚者”で…「不毛な道」に進んだ女性が気づいたこと

既婚者と肉体関係を持つ不倫は、法律にてらせば不貞行為となり、“アウト”です。

そこまで進んでしまうには相応の理由と状態があるのかもしれませんが、一度足を踏み入れたら不倫は一生つきまとうネガティブな過去。

不毛な関係を選ぼうとして「やめた」ある女性は、自分は何の目的があってその人と肉体関係を持とうとしていたのか、改めて考えていました。

女性の本音はどこにあったのか、ご紹介します。

不倫を思いとどまった女性の本音とは

彼氏が好きになったのは「既婚者の女性」

「付き合って一年になる彼氏がいて、お互いに仕事が忙しくて平日はなかなか電話もできず、週末に会うのがやっと、の状態が3ヶ月ほど続きました。

彼氏がお昼休みに『調子はどう?』とLINEでメッセージをくれても返事をつい後回しにしてしまい、その日の寝る前になってやっと『今日もお疲れさま』とほとんど噛み合わない言葉を返していたのは、私が悪かったと思っています。

彼氏のことは好きだけれど仕事のほうに集中していて、それを理解してくれるはず、と気持ちを説明していないのに勝手に期待していたのですね。

気がついたら私のほうからメッセージを送るのは2日に一度くらい、週末の約束も彼氏から言われて思い出す感じになっていて、寂しい気持ちにさせていただろうなと思います。

彼氏からの連絡も減っていって、金曜日の夜だけどお互いにLINEもなしで土曜日を迎えるようになり、さすがにまずいと思って私から『泊まりに来ない?』とあるときメッセージを送りました。

彼氏から返ってきたのは『もう予定が入っている。別れたい』という言葉で、突然の別れ話にびっくりしましたね……。

慌てて電話すると『ほかに好きな人ができた』と言われ、誰かを聞いても最初はかたくなに口を閉ざしていたのですが、『どんな人かを知るまでは別れない』と告げたら仕方なさそうに『会社の上司の人』とぼそっと返しました。

その人は以前から話題に出ていた『尊敬する上司』だとすぐ思いつき、『え、結婚されている人じゃなかった?』と尋ねると『そうだけど、好きになったのだから仕方ない』と、今度は強気な口調で彼氏が返してきて。

それからは仕事帰りにふたりで食事に行っていること、でも付き合うとか肉体関係を持つことは望んでおらず『片思いでいいと思っている』ことなどを話されて、浮気じゃなくて本気で好きなのだ、と伝わりすごくショックでした。

『向こうも不倫はしないと言っている』と言われたときに『じゃあ告白したんだね』と返したらまた黙り、当たりだと思いましたね。

私と付き合いながら別の女性に、しかも既婚者で付き合う希望も持てないような人に好きだと言っていたのだ、とわかったら、悲しみと同時に怒りが湧き、その場で別れました」

「既婚者に彼氏を取られた」という気持ちから…

「会社で同僚に愚痴ったら、『ありえない』と最初は一緒に怒ってくれたものの『でも、あなたもずっと彼氏を放置していたのでしょう?』と冷静に返されて、そんな状態で身近な上司に好意を持つのは当たり前かも、とも思いました。

それでも許せなかったのは相手が既婚者なことで、『先がないとわかっていても自分よりその女性への愛情を選んだ彼氏』とそんな自分に、なんともいえない怒りがあって。

今は間違っていたとわかるのですが、そのときは『既婚者に彼氏を取られた自分』の惨めさばかり感じてしまい、虚しくてたまりませんでしたね。

別れてからすぐ彼氏からはLINEも電話もブロックされており連絡も取れない状態、拒絶される自分を見ると余計に悲しくなって、ひとりで夜を過ごすことが苦しく、マッチングアプリに登録しました。

名前もプロフィールも適当に設定して『彼氏に振られたばかりです』と書いたらたくさんの男性からメッセージが来て、気が合いそうな人を選んでやり取りをしていました。

既婚の男性から『慰めてあげる』『今すぐ会おう』みたいなメッセージも多く届いて、結婚している人へのモヤモヤが強かった私は、そんな人をあえて選んで愚痴を吐いたりしましたね。

実際に会うつもりなんてまったくないのに、その場限りの会話を繰り返しては彼氏への恨みを晴らしていたのだと思います」

ある既婚男性との出会い

「あるとき、届いたメッセージのなかでプロフィールの写真が好みのドンピシャの既婚男性がいました。

返信してみるとすぐ応答があって、ほかの既婚男性と違い私の仕事のことや興味のあることなど内面の話をしたがって、新鮮でした。

既婚者だけど奥さんとは別居中らしく、その『設定』も聞き飽きていたので真に受けないままお互いについていろいろと打ち明けあっていたのですが、すぐ会おうと言わないし性的な話題も振ってこないし、本当にひとりの人間として会話ができている、と実感できる人でしたね。

私と同じく正社員として働いており仕事についても具体的な話をしてくれて、私が自分の抱えるプロジェクトについて障りのない部分だけ話すとすぐ『仕事人』としての視点で返事をくれるのも、心強いし頼れるなと思いました。

元彼と違って返事が遅くなっても『体調に気をつけてね』といつも気遣ってくれて、作った晩ごはんの写真を思い切って送ったら『こんなに作って偉いね』『美味しそう!』と楽しく反応してくれて、いつからか好きになっていたのだと思います。

寝る前に『今日も話せてうれしかった、よく眠れそう』と届くと心があたたかくなって、『私も』と返しながら、会いたいなと思うようになりました。

たぶん彼にもそんな気持ちは伝わっていたと思うけれど、あるとき『もし迷惑でなかったら、週末にランチでもどう?』と控えめな感じで誘われて、すぐにOKしました。

夜ではなく昼間に誘ってくれて、お店も私の最寄り駅近くを提案する彼に、既婚者だけど信用できるとはっきり感じたのを覚えています」

流されそうになる心

「そのとき思い浮かんだのが元彼で、客観的に見たら私も同じ状態になっているのだ、と気が付きました。

相手は既婚者で、別居中がたとえ事実であっても堂々と付き合えるわけではない、そんな人を好きになってどうするのだ、と文字通り頭を抱えました。

でも話していると楽しいしどうしても惹かれてしまう、そこに既婚かどうかは無関係で、『彼氏もこんな気持ちだったのかな』と思うとまた胸が苦しくなって。

礼儀正しく線を引いて接してくれる彼だからこそ好意を持つこともわかっているのに、『このままでは本気になってしまう』と自分が向ける気持ちの大きさを実感しました。

会わないほうがいいのだろうと思う一方で『会わないのにメッセージのやり取りを続けて何になる』と言い訳する自分もいて、本当に苦しかったです。

結局会いたい気持ちに負けて当日は出かけたのですが、いざ顔を合わせると写真の通りで本当に好みの人、清潔感がありすぐ『好きだ』とはっきり思いました。

彼のほうも『送ってくれた写真のままだね、かわいい』と照れながら言ってくれて、でも歩くときはきちんと距離を取って、お店の個室に落ち着いたときも触れてくるようなことはなくて、そんな姿がまた、好きを加速させていきました。

何回もメッセージで話していたせいか話題はいろいろあってずっと盛り上がり、楽しかったです。

彼が『失恋の傷は癒えてきた?』と尋ねたとき、『あなたのおかげでだいぶ楽になった』と答えたら、『じゃあ、もう次に進める?』と真顔で聞かれて、息が止まりました。

今も覚えていますが、雰囲気がもうくっつく寸前のふたりって感じでかなり濃くなっていて、『うん』とうなずくのがこの場の正解、って直感でわかるのですよね。

でも、それをすると関係が進むことになる、次は肉体関係を避けられない、『不倫』という言葉が頭に浮かび、それがブレーキになりました。

『あなたが独身だったら……』と思ったままを口にしてしまい、彼が苦しそうな表情で顔を伏せた瞬間は、今も胸が痛いです」

「誰のための」不倫なのか

「結局、この人とはそのまま終わりました。

お互いに好きだとわかってはいるけれど、彼が既婚者なら進む先は不倫しかなくて、別居中とか関係ないですよね、ダメだよなと思いました。

ランチの後はそのまま駅でお別れしたのですが、最後まで笑顔で送ってくれた彼のことは忘れません。

その後はどんな話をすればいいかわからず、たぶん彼も同じ気持ちだったと思います。

『会ってくれてありがとう』とメッセージが来てそれに『こちらこそ』と返し、やり取りは終わりました。

彼と離れてみて気がついたのですが、元彼へのあてつけというか、自分も既婚者と関係を持つことで怒りを消化したい部分がどこかであったのだと思います。

自分がいながら既婚の上司を好きになった元彼が許せなくて、見返してやりたいというか。

こんな自分を元彼が知ることはないし、むしろ知られてしまえば嫌われる一方だと思いますが、私より報われない片思いなんかを選んだ元彼に何とかして近づきたかったのかもしれません。

この既婚男性のことは、元彼に関係なく好きになったと今でも思っていますが、不倫にならずに本当によかったです。

自分のせいで元彼に振られたのだ、と改めて思ったら、マッチングアプリで他人と話すことも楽しくなくなりました。

次に彼氏ができたら、放置して寂しい思いをさせるのではなくて、関係を大切にしていきたいと思います」(女性/31歳/接客業)

どんな選択も自分に返ってくるのが不倫

この女性が目をそらしていたのは、自分が彼氏とのつながりをないがしろにしていたのに、その結果「既婚女性への片思い」を選ばれた事実でした。

これが、普段からコミュニケーションをしっかり楽しめていたうえでのことならショックを受けますが、自分から連絡をすることもなく恋人から話が来てやっとデートが叶うような状態では、ほかの人に目が向くのは仕方ないのとも感じます。

彼氏に責めがあるとすれば、「既婚女性への片思い」を決める前に女性ときちんと別れなかったことで、実際はどうかわからなくても告白したとまで感じられるような状況は、いいとはいえません。

どんな選択をしても、その結果は必ず自分に返ってきます。

マッチングアプリで知り合った既婚男性を好きになった女性も、「既婚の上司への片思い」を選んだ元彼も、独身者同士の“一般的な恋愛“から遠ざかる以上は成就は難しく、不倫関係に発展すれば大きなリスクを抱えることからは逃げられません。

それを「理解した」とこちらの女性は話していましたが、既婚者を好きになることや関係を持つことは、相応に大変な思いをするのが実際です。

どんな恋愛も「自己責任」?

独身者同士の恋愛なら、お互いが好きになれば交際は成立するし終わりもまたふたりで決められます。しかし、不倫の場合はそうはいかず、関係が表に出てしまえば慰謝料の発生や社会的なペナルティを受ける可能性を避けられません。

法的に結ばれた配偶者がいる人を好きになるのは、ベッドをともにするような親密さは諦めてもやはり窮屈で息苦しさを感じます。

自分まで既婚男性と不倫の一歩手前まで進んでしまったのは、独身の自分がいながらそんな恋愛を選んだ彼氏に大きなショックと失望を覚えたからで、自信をなくしていたのかもしれません。

そもそも彼氏とのつながりを大切に育てていればこうはならなかったはずです。その反省と後悔から逃げる勢いも、あったのではと感じます。

「普通のときならマッチングアプリは使わないし、既婚の男性と個人的に仲良くなろうとも思いません」と女性はきっぱり口にしていましたが、その通常の感覚が崩れるほどの衝撃だったのですね。

マッチングアプリはいいとしても既婚男性と親しくなるのは危険であり、本人が言う通り別居中など関係なく肉体関係を持てば不貞行為となります。

失恋したショックから倫理観がおかしくなり、不倫に走る人は実際にいますが、その結果は歓迎できるものではないのが現実。相手が離婚しない限り堂々と付き合えることはないので、自分ばかりが損をするつながりを抱える状況になります。

どんな人を好きになってもいわゆる「自己責任」ではありますが、既婚女性への片思いを選んだ元彼へのあてつけのように自分までその道に踏み込むのは、いいやり方とは決して言えません。

どれだけ親しくなっても「超えられない壁」があるのが既婚者

今回のケースでは、相手の男性が独身であれば、トントン拍子に話は進んで交際までたどり着けたと思います。

お互いに好意があれば成立するのが交際関係で、逆にどれだけ好意があっても「ダメ」となるのが不倫です。

不倫のリスクは先に書いた通りですが、相手と心が通い合い両思いなのだと確認できても、既婚者の時点で「超えられない壁」があります。そこで諦めるのが自分のため。

こちらの女性は、不倫の大変さを想像できたことで踏みとどまりました。

そこで改めて考えるのが元彼に自分はどんな姿を見せていたか。それを考えることで、やっと失恋の痛みを向き合うことができ、次の恋愛に向けて気持ちを立て直す勇気を持てました。

元彼を恨んでも仕方なく、そのせいで不倫のようなおかしな関係を手にするのも悪い道です。ひとりでしっかりと自分を見つめ直す姿勢が、人を大切にする気持ちを育てるのですね。

どれだけ親しくなっても「超えられない壁」があるのが既婚者と思えば、自分と相手を慈しめる恋愛とはどんなものか、を正しく受け止められます。

自分のせいで振られただけではなく、彼氏が報われない片思いを選んだとわかれば、衝撃が大きいことは理解できます。

それでも、「誰のための不倫」なのかと考えたとき、元彼へのあてつけとして自分まで既婚者に心を預けるような恋愛は、かえって自分をないがしろにします。

その前に自分と正しく向き合う勇気を持つことで、不毛な道へ進む足を止めることができると思いましょう。

(mimot.(ミモット)/ 李丘)

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