シアターエンヤ(唐津市)の推薦映画 世界に配信 大林宣彦監督の「花筐」 映画館紹介、地元風景も

映画館を紹介する動画の取材を受けるシアターエンヤの関係者=唐津市

 唐津市の映画館「シアターエンヤ」など全国から選ばれた10館が推薦する作品と映画館の紹介動画が8月から、海外に向けてネット配信される。海外上映が一部にとどまる邦画を世界へ届ける取り組みで、県内からの選出はエンヤが初めて。唐津がロケ地となり、多くの市民が製作に関わった「花筐/HANAGATAMI」(大林宣彦監督)を推薦した。

 外務省が管轄する独立行政法人「国際交流基金(JF)」が昨年度から実施している。多様な作品を上映するミニシアターをピックアップし、お薦めの単館系作品を無料で配信する。英語やスペイン語など5カ国語の字幕が付き、日本以外の世界各国で視聴できる。映画館関係者へのインタビューや地元の風景をまとめた紹介映像は、ユーチューブで公開する。

 本年度は北海道から沖縄までの10館が選ばれた。エンヤは2019年にオープンし、唐津では22年ぶりに映画館が復活。「ミニシアターの必要性を追求し、『花筐』の映画製作などを通じて市民とのつながりが生まれている」(JF担当者)と選出された。製作には市民団体「唐津シネマの会」が中心的に関わり、映画館立ち上げに動いてきた。

 4日に紹介映像の撮影があり、映画館のスタッフやサポートする市民の同好会が出演した。同館館長の甲斐田晴子さん(41)は「映画館を復活させた文化的な町だと、市民にも誇りに感じてもらえるとうれしい。人口減少の中でも(映画館の存在が)一つの希望になれば」と話す。(横田千晶)

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