厄介な「乗り物酔い」の原因って? 子どもから大人までできる3つの対策

楽しみなはずの旅行の前日、「車で酔ったらどうしよう……」と不安がよぎることはありませんか?

吐き気やめまい、頭痛、冷や汗など、乗り物酔いは不快な症状を伴いますよね。

今回は、乗り物酔いが心配な方のために、乗り物酔いの正体と要因を解説したうえで、予防・対策についてご紹介します。

乗り物酔いをした経験がある人も、これから旅行を控えている人も参考にしてみてください。

乗り物酔いの正体は「脳の混乱」

乗り物酔いの正体は、車や船、飛行機などの揺れによって脳が受ける刺激と、目からの情報が矛盾することによる「脳の混乱」です。

脳は、目で見た情報やからだの感覚から受ける情報を総合的に処理し、「自分がどこにいるのか」「進行方向はどちらか」を判断しています。

しかし、乗り物が揺れたり急停止・急発進したりすると脳が混乱してしまい、からだと脳の情報が矛盾するために乗り物酔いが起こります。

乗り物酔いの要因をチェック

乗り物酔いは体質など個人差がありますが、以下のような要因が重なることでひどくなる可能性があります。

1.当日の体調

当日の体調は、からだの平衡感覚に影響します。

たとえば、睡眠不足や疲れがあると、内耳や視覚などの情報を処理するために必要な神経系がうまく働かなくなり、平衡感覚が乱れやすくなります。

その結果、乗り物の揺れや振動に対する耐性が低下し、乗り物酔いの症状があらわれやすくなると考えられています。

2.車内の温度や湿度・におい

車内の温度や湿度、においなどは乗り物酔いを引き起こす原因のひとつです。

狭く閉塞感のある車内で長時間過ごすと、空気の循環が悪くなり酸素不足や二酸化炭素濃度の上昇が起こります。

これによってめまいや吐き気、倦怠感などの症状があらわれ、乗り物酔いを引き起こすことがあるのです。

また、車内に不快なにおいがある場合も、吐き気や頭痛を引き起こすことがあり、乗り物酔いのリスクを高めます。

3.不安やストレス

「以前に乗り物酔いを経験したことがある」など、乗り物に対する苦手意識がある場合はその不安感からストレスがかかります。

ストレスを感じている状態が続くと交感神経が優位になり、からだが緊張状態になってしまいます。

からだの緊張状態は自律神経の乱れを引き起こし、乗り物に酔う可能性を高めます。

【子どもから大人まで】乗り物酔いの予防&事前対策

ここからは、子どもから大人まで使える、乗り物酔いの予防法や事前対策についてご紹介します。

1.体調のコンディションを整える

乗り物酔いを予防するためには、事前に体調のコンディションを整えることが大切です。睡眠不足や食べすぎ、飲みすぎなどは、乗り物酔いの原因となります。

事前にしっかりと睡眠をとり、食べ過ぎないことを心がけましょう。また、アルコールの摂取は避けるのがおすすめです。

2.揺れの少ない座席に座れるよう配慮する

乗り物酔いを防ぐためのひとつの方法として、揺れの少ない座席に座ることが挙げられます。

車やバスでは前方の座席、飛行機では翼の付け根あたりの座席などが揺れが少なく、比較的安定した座席とされています。

このような座席に座ることで揺れによる脳の混乱を防ぎ、乗り物酔いを予防することができます。

なお、最も安定した座席の位置は乗り物によって異なるため、事前に調べておくことが大切です。

3.「乗り物酔いしない」という安心感を与える

「乗り物酔いしない」という安心感を与えるお守りやおまじないは、精神的な支えとして効果があるとされています。

お守りを持たせることで「これを持っているから大丈夫」という安心感を与えることができます。

また、手首の内側にある「内関穴(ないかんけつ)」というツボを押すことで、乗り物酔いを予防するというおまじないもあります。

乗り物に対する苦手意識や不安感が強い子どもの場合には、親が子どもに対して「吐いてしまわないか心配しなくても大丈夫」と声をかけるなど、安心感を与えることが必要です。

酔い止めの代わりに! 漢方もおすすめ

「乗り物酔いの対策はしたけれど、それでも心配……」という人には、からだの内側から根本改善を目指すことができる漢方もおすすめです。

乗り物酔いの原因としては、耳の三半規管への刺激による自律神経の乱れ、水分代謝のアンバランス、疲労やストレスの蓄積、乗り物酔いに対する不安感、睡眠不足などが考えられます。

乗り物酔いには、

・体内の水分バランスを整えてめまいや吐き気を改善する
・消化・吸収機能を改善して心とからだを元気にする
・自律神経のバランスを整えて、睡眠の質を高め、ストレスによる車酔いを改善する

というような漢方薬を選びます。

自然由来の成分からなる漢方薬は、小児科でも処方されており、子どもにも安心して使っていただけるというメリットがあります。

乗り物酔い対策におすすめの漢方薬

五苓散(ごれいさん)

水分の滞りを改善し、水分代謝を整えます。乗り物酔いに効果があります。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

水分の滞りを改善し、胃にたまった余分な水を排出する働きがあります。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

胃腸の働きを活発にして、胃にたまった余分な水を吸収させ排出します。

漢方薬はご自身のからだの状態や体質に合ったものを選ぶことが大切です。からだに合っていないと、うまく効果を感じられなかったり副作用が起こったりする場合があります。

スマホを使ってオンラインで相談できる「あんしん漢方」などのサービスを使えば、漢方薬に詳しいプロがひとりひとりに合った漢方薬を見極め、お手頃価格で自宅まで郵送してくれます。

乗り物酔いは、揺れや刺激によって起こる症状であり、その正体は脳の混乱です。

当日の体調や車内の温度・湿度・におい、不安やストレスなどの要因が重なることでひどくなることがあるため、数日前から漢方薬を飲むなど事前に充分な対策をしましょう。

<この記事を書いた人>

あんしん漢方薬剤師
藤田 佑莉(ふじた ゆうり)

北里大学卒業後、産婦人科門前の調剤薬局で働く中で、女性特有の不調に悩んでいる方が多いと実感。漢方薬による根本治療の大切さを広めたいと考え、精度の高い漢方をお手頃価格で提供する「あんしん漢方」で薬剤師としてサポートを行う。

(ハピママ*/ あんしん漢方)

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