「いい人」「誇りに」 死亡の赤池市議しのぶ声 南砺・砂子谷の土砂崩れ

土砂崩れで倒壊した建物から赤池さんを運び出す捜索関係者=13日午後1時20分、南砺市砂子谷

  ●明朗、正義感強く

 13日未明に南砺市砂子谷で起きた土砂崩れで、住民に避難を呼び掛けていた市議赤池伸彦さん(65)=同市高窪=が死亡したことを受け、住民や同僚市議らは「あんなにいい人はおらんかった」と明朗で正義感の強かった人柄をしのんだ。友人でもある田中幹夫市長は現場を視察し、赤池さんの遺族に「最後の最後まで住民を避難させようという一心で頑張ったことを、誇りに思う」と伝えた。

 赤池さんは石川県の旧押水町(現宝達志水町)出身で、金沢二水高、金沢美大卒。夫婦で大阪からUターンし、家具製作業を営んでいた。南砺市議は4期目で、市監査委員を務めていた。

 現場は、赤池さんの自宅から渋江川を挟んだ向かい側。妻佳美さん(64)が13日未明に「どーんという音」で目覚めると、既に赤池さんは外出していたという。捜索では重機でがれきを少し除去するたびに消防署員が赤池さんのスマートフォンに電話し、佳美さんら家族も無事を願い、音が鳴らないか耳を澄ませた。

 突然の死に、佳美さんは「どういう状況だったか、あまり分かっていない」と言葉少なだった。赤池さんは10日に福光中部小で児童と給食をともにする活動をしたばかりで、佳美さんは「楽しめたと喜んでいたのに」と声を詰まらせた。

 行方不明になる直前まで一緒にいた砂子谷自治会長の鳥越知証さん(67)は、市消防団南蟹谷(みなみかんだに)分団OBだった赤池さんについて、富山県消防操法大会で優勝経験もあると振り返った。「地域のリーダーとして、ますます活躍するところだったのに、言葉にならん」と肩を落とした。

 赤池さんと同じ福光地域の水口秀治市議会議長は、現場で「痛かったやろう、かわいそうに」と手を合わせた。「皆さんのために頑張る姿勢と遺志を引き継ぎ、市民の安全安心にしっかり努める」と語った。

 赤池さんが所属する会派「自民クラブ」の才川昌一会長は「怒った顔を見たことがない。いつも自分のことよりも人のことを考える人格者だった」と赤池さんを惜しんだ。

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