マイナンバーカード返納 長崎県内は26件 4市3町 制度不安で増加傾向

 トラブルが相次ぐマイナンバー制度への不安や不信を理由にマイナンバーカードが自主返納されている問題で、長崎県内では5月以降、大村など4市3町で少なくとも26件の返納があったことが13日、本紙の取材で分かった。件数は増加傾向で、他市町に広がる可能性もある。
 内訳は大村10件、佐世保7件、長崎5件、雲仙、東彼川棚、同東彼杵、西彼時津各1件。各市町には「行政のミスやトラブルが多くて危ない」「(国から)知らされていないことが多い」「情報漏えいへの不安がある」といった理由が寄せられた。
 月別では、トラブルが顕著化した5月が5件。翌6月には3倍の15件に上った。7月は7日までに6件の返納があり、徐々にペースが上がっている。
 同制度を巡っては、マイナンバーに別人の公金受取口座を誤登録するミスが全国で続出。マイナカードを使ったコンビニでの証明書交付サービスでも、別人の住民票の写しを誤交付するトラブルが発生した。
 県内では今のところ、行政のミスは確認されていないが、対馬市で市民が住所情報を更新していない健康保険証をカードにひも付けるケースが1件あった。他の市町は「トラブルは把握していない」としている。
 カード交付率は北松小値賀町が88.7%(6月末現在)で最高。他の市町も7割を超えている。
 デジタル庁は一連のトラブルについて「重く受け止め、政府全体で総点検と再発防止を推進していく」とする。自主返納に対しては「マイナカードは本人確認手段。(各種情報の)ひも付けの誤りはカードの保有とは関係なく、返納しても解消しない」と強調。自らの情報に誤りがないか不安な市民には、カード取得者向けサイト「マイナポータル」での確認を勧めている。

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