三原市 産廃処分場 県が控訴「容認しがたい」 広島

三原市の産業廃棄物処分場について、県は設置許可の取り消しを命じた地裁判決を「容認しがたい」とし広島高裁へ控訴しました。

三原市にある民間の本郷処分場は2020年に県が設置を許可し、去年9月から一部で稼働が始まりました。

4日、広島地裁は「地下水や水質の調査は環境省の指針や専門家の指摘に則っていない」とし、県に設置許可の取り消しを命じる判決を出しました。「県の審査には看過しがたい欠落が認められる」と厳しく指摘しています。

湯崎英彦知事「県の主張が認められなかったのは残念で厳しい判決と受け止める」

湯崎知事は「看過しがたい欠落がある」とした判決について「県としては法令に則って適切に検査したと考える」としていました。

この処分場について先月、県は採取した水の汚れが法定基準値の約2.5倍だったとし、稼働停止と改善策を求める行政指導をしました。

三原市と竹原市は「処分場から排出された水は適正に維持管理されていない可能性がある」として県に対応を求める要望書を提出しています。

地元住民「あの土地は三原と竹原市民の水がめです。その水がめに何でごみを入れるのですか。こんな計画をなぜ許すのですか」

訴えを起こした地元住民らは866人分の署名を提出するなど県に控訴しないよう求めていました。

しかし県は「地裁判決を容認しがたい」として14日に広島高裁へ控訴しました。環境への影響に対する懸念は重く受け止め、処分場への監視・指導をしていくとしています。

三原市議会 岡本純祥議長「これより令和5年第5回三原市議会臨時会を開会します」

三原市議会では出席議員全員の賛成で県に対する意見書が可決されました。水質基準を超えていたことをうけ「水源の保全が脅かされる事態」とし、原因究明と設置許可の取り消しなどを求めています。

岡森吉宏記者「処分場近くを流れるこちらの水路でこれから住民グループが水質検査をするということです」

原告の住民らは先月から週に1度の水質調査を始めました。簡易検査のため誤差はありますが、14日も基準値を上回る結果が出たということです。

原告団の1人 岡田和樹さん「20~30%の誤差を考えても基準値を大幅に上回っているのではないかと思う。正規の検査を早急に市や県に求めたい」

原告団のひとりで近くに田んぼをもつ男性は県が控訴した判断に疑問を抱きます。

記者「県が午前中に控訴しましたが」

原告団の1人 竹之内 昇さん「もうしたんですか?控訴したんですか?(地裁で)過程が間違いと言われてそれを認めてもらわないと。助けてもらいたい。この環境を元に戻してもらいたい」

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