エスペール賞の厚地さん、全幕振付に初挑戦 23日に石原バレエスクール記念公演

本番に向けて生徒たちを指導する厚地さん(中央)

 【宇都宮】国内外で活躍するダンサーを輩出してきた関堀町の石原千代バレエスクールは23日、創立35周年記念公演を県総合文化センターで開催する。本公演では、同スクール出身で、英国のバレエ団で最高位のプリンシパルを務めたバレエダンサー厚地康雄(あつぢやすお)さん(37)=東京都世田谷区=が、「くるみ割り人形」全幕の振り付けと演出に初挑戦する。厚地さんは「レベルの高い舞台を楽しんでもらい、宇都宮の芸術を盛り上げたい」と意気込みを語った。

 厚地さんは5歳から同スクールで学び、2003年に英国ロイヤルバレエスクールへ入学。18年には、英国バーミンガムロイヤルバレエ団で日本人男性初のプリンシパルに昇格した。現在は国内に活動拠点を移し、今年3月に若手芸術家を支援する市の「宇都宮エスペール賞」を受賞した。

 石原千代バレエスクールは現在、3歳~60歳代の約100人が所属。節目の年の記念公演では、国内外で活躍する卒業生やソリストをゲストに迎え、「くるみ割り人形」を上演してきた。

 厚地さんもこれまで、多忙なスケジュールを縫って出演。帰国後初となる今回は、恩師でスクール主宰の石原千代(いしはらちよ)さんから「出演だけでなく全幕の演出、振り付けをやってみては」と声をかけられ、二つ返事で了承したという。

 「頭の中にあるイメージを伝え、形にするのは思った以上に大変」と厚地さん。見る人に分かりやすく、ダンサーも演じやすいよう、手話のように手ぶりで台詞を伝えるマイムの要素を盛り込み、演劇性を高めた。

 本番に向け、稽古場で熱心に指導するまな弟子の姿に、石原さんは「丁寧な指導で、生徒たちも楽しみながら練習している。振り付けに新鮮さや面白みがあり、新作として観客にも楽しんでもらえるのでは」と話していた。

 記念公演は午後3時開演。全席指定で2千円から。(問)同スクール028.624.9670。

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