【大分】大分市本神崎の住民らでつくるNPO法人が、近年人気のマリンスポーツ「サップ」(立ちこぎボード)を活用した地域活性化に力を入れている。運営する自然海浜公園で海水浴客に貸し出すほか、インストラクターに活動の場を提供。イベントなども計画し、次世代が地域の豊かな自然に目を向け、守っていくきっかけづくりに取り組む。
同公園は1970年代、「埋め立てられずに残った美しい砂浜を憩いの場にしよう」と住民が中心となり海水浴場として整備した。現在は住民らでつくるNPO法人「福祉コミュニティKOUZAKI」(安達立春理事長)が運営。海浜植物の増殖・保護、海岸清掃、ウミガメが戻る森づくりにも努める。
「活動の継続には次代を担う人たちに地域の良さを知ってもらうことが不可欠」(同法人)。海水浴場の魅力を高めようとカヌーに加え、サップ2台を購入。2020年から貸し出し(1人乗り千円)を始めたところ好評なことから、今年7台に増やした。地域の子ども教室などでも体験の機会を設ける。
日本サップヨガ協会公認インストラクターの森本杏菜さん(26)=同市=は同法人の承諾を得て、サップを大分で広めようと21年から海水浴場で個人的にスクールを開く。「大分でも徐々に知名度は上がってきている。マリンスポーツの中では取り組みやすく、小学生の参加もある」
校区の小猫川沿いには夏になると、ハイビスカスに似た塩生植物のハマボウが咲き誇る。関係者は樹齢100年以上の自生木などを間近で楽しんでもらおうと、サップでの川面からの観賞も計画する。
「地域は古代から海部(あまべ)族の一大拠点として海や川とのつながりが深く、生活に生かしてきた歴史がある」と同法人の稲生亨事務局長(77)。「地元の古墳祭りのデモンストレーションとして古代人姿でサップに乗り、川をさかのぼって当時を現代風に再現するなど、さまざまな活用を考えたい」と話している。