大画面に独創的世界 山形美術館で本社8大事業「遠藤彰子展」開幕

開展式でテープカットする遠藤彰子さん(左から3人目)と関係者=山形市・山形美術館

 山形新聞、山形放送の8大事業「遠藤彰子展 巨大画で挑む生命の叙事詩」が14日、山形市の山形美術館で開幕した。武蔵野美術大名誉教授で二紀会を中心に活躍する洋画家遠藤彰子さん(75)=相模原市=の初公開作を含む初期から現在までの油彩画や彫刻など約80点を展示している。県内外からファンが訪れ、壁面を覆うような大画面に描かれた独創的な世界に見入った。

 描くこと自体が喜びだった20代に手がけた「楽園」シリーズ▽30代になり子育てをしながら、恐ろしさや楽しさなど相反するものを組み合わせて表現した「街」シリーズ▽人間の営みや生と死などをテーマにダイナミックに描いた大作シリーズ-を中心に、新聞小説の挿し絵、ネコの彫刻などが並ぶ。長井市の「卯の花姫」伝説をモチーフにした作品もある。初日は遠藤さんが主な作品を示しながら、コンセプトや制作のエピソードなどを解説した。

 開展式では主催者を代表し、寒河江浩二山形新聞会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)が「壮大なスケールに引き込まれ、時間がたつのも忘れてしまう。じっくり鑑賞してほしい」とあいさつした。遠藤さんは「絵の可能性を考えようと大きな絵に取り組んでいる。東北で初めて大作展ができ、うれしく思う」と話した。佐藤孝弘山形市長が祝辞を述べ、丸子尚県観光文化スポーツ部次長が吉村美栄子知事のメッセージを代読した。寒河江会長と佐藤秀之山形新聞社長、板垣正義山形放送社長、遠藤さん、佐藤市長、丸子次長、菅野滋山形美術館長がテープカットを行い、開幕を祝った。

 関連イベントとして、遠藤さんの講演会が15日午後2時から、遠藤さんのギャラリートークが16日午前11時から、同館で開かれる。本展は山形新聞、山形放送、山形美術館が主催し、県と県生涯学習文化財団が共催。会期は8月27日まで。展示作はフラッシュなしでの撮影と交流サイト(SNS)への投稿ができる。

遠藤彰子さん(中央)の数々の大作が並ぶ展覧会=山形市・山形美術館
遠藤彰子さんの大作に見入る来館者=山形市・山形美術館
遠藤彰子さん(中央奥)の解説を聞きながら作品を鑑賞する人たち=山形市・山形美術館

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