第105回全国高校野球選手権記念山形大会は第6日の14日、中山町のヤマリョースタジアム山形(県野球場)と山形市のきらやかスタジアムで3回戦4試合を行い、九里学園、鶴岡東、東海大山形、山形中央が8強入りを決めた。
九里は序盤の好機をものにすると、エース佐藤珠生と高橋翔斗の継投で創学館打線を封じ、5―0で勝った。鶴東は先発佐藤一汰が快投。打線も小技を絡めて手堅く得点を重ね、8―0で鶴岡南を七回コールドで下した。東海大は終盤でミスに乗じて一気に突き放し、14―1で山形工に八回コールド勝ち。山中央は攻守で東桜学館を圧倒し、27―2の五回コールドで退けた。
第7日の15日は両球場で3回戦の残り4試合を行う。
【ヒーロー】好機に打席の捕手、2点適時打
「一本出なければ相手の流れになる」。九里学園は1点リードで迎えた三回表。2死一、二塁で打席に立った捕手の7番寒河江大志は冷静に闘志を高めた。「絶対に大きいのを打つ」。4球目の変化球をフルスイングで捉え、打球は左翼手を越し走者は2人とも生還。3年生は二塁上でこぶしを突き上げた。
打撃フォーム改造と筋力トレーニング、食事トレーニングに取り組み、1年で体重を10キロ増やした。「差し込まれたが力で持っていった」。アップさせたパワーが生きた。この回、自らもホームを踏んだ寒河江は、殊勲打に「駆け付けた応援団の前で練習の成果を出せた」と喜ぶと同時に、この日は3三振を喫し「悔いが残る」。反省も忘れなかった。
捕手としては状況に合わせたリードを心がけた。先発佐藤珠生が四回裏に連打を浴びると、すかさずマウンドに駆け寄り「一つずつ打ち取っていこう」と励ました。失点は許さず、スコアボードには最終回までゼロを並べた。
高橋左和明監督が「打っても失敗してもチームが盛り上がるムードメーカー」と信頼する選手。4強入りを懸ける次戦へ「自分が声を出してもり立てる。笑顔を忘れずプレーしたい」。気合は十分だ。