柴田勝家の「馬印」猛将の威勢にじむ、金色で長さ5メートル 福井県立歴史博物館が複製製作

複製された長さ約5メートルの「金幣馬印」=7月12日、福井県福井市の県立歴史博物館

 福井ゆかりの戦国武将、柴田勝家が戦場で居場所などを示すのに使ったと伝わる「金幣馬印(きんぺいうまじるし)」を広く知ってもらおうと、福井県立歴史博物館は写真撮影やイベントに使える体験用の複製を製作した。7月29日から福井市の同館で開く特別展で披露し、館内外のイベントで活用する。

 金幣馬印は、長さが約5メートルあり全体が金色となった。実物として菩提(ぼだい)寺に伝わる馬印に比べきらびやかな印象で、「鬼柴田」の異名を持つ猛将の戦場での威勢をうかがわせる。

 馬印は戦場で大将の馬のそばに立てて所在を示す道具。金幣馬印は、勝家の菩提寺の西光寺(福井市左内町)に伝わる。寺にある実物は黒い竹棒の先端に金色の飾り「幣紙」があり、そこから「紙垂」と呼ばれる黒い紙が垂れ下がる。現在、紙垂は折りたたまれた状態で保存されている。

 同館の大河内勇介学芸員(40)によると、1583(天正11)年に書かれた公家の日記「兼見卿記」には「柴田馬璽(じるし)金幣京都へ持上」とあり、賤ケ岳の合戦で敗れた勝家の金幣馬印が京都へ送られたことが確認できる。江戸時代の軍記物語やびょうぶなどにも登場するという。

 紙垂の実物は黒色で塗られているが、びょうぶや錦絵などでは金色に描かれている。「元々金色だった可能性がある」として、今回の複製は金色とした。西光寺の駒野興圓(こうえん)住職(40)は「迫力があり勝家公の威厳が現れている」と話していた。

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 同館は7月29日~9月3日の特別展「『鬼柴田』勝家の実像~武勇と統治に長けた忠義の臣」で披露する。体験用とは別に、紙垂を黒色にし実物に近づけて製作した展示用の複製も並べる。

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