奥能登で復活鑑賞の喜び 現美70年ぶり輪島展開幕

石川県内最高水準の美を楽しむ来場者=15日午前10時、輪島市の県輪島漆芸美術館

  ●県漆芸美術館

 第79回現代美術展輪島展(一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社、輪島市など主催)は15日、同市の県輪島漆芸美術館で開幕し、地元の人間国宝3氏の名品をはじめ、意欲作71点が披露された。輪島では1953(昭和28)年以来、70年ぶりの巡回展となり、開催を待ちわびた奥能登の美術愛好者は県内最高水準の美に触れ、輪島展復活の喜びをかみしめた。

 前史雄(沈金)、小森邦衞(髹漆(きゅうしつ))、山岸一男(沈金)の人間国宝3氏が手掛けた渾身(こんしん)の作が存在感を放った。このほか地元作家では、一般の部で最優秀賞・県美術文化協会会長賞を射止めた田中義光氏(輪島市気勝平町)の蒔絵(まきえ)箱など、重鎮から新進作家までの力作が並んだ。

 午前9時の開場と同時に、続々と来場者が訪れた。知人が出展した日本画を鑑賞した酒井人栄さん(60)=輪島市門前町門前=は「これまでは七尾まで行っていたが、地元で鑑賞することができ感激した」と喜んだ。

 約40年にわたって書に取り組む濱田明義さん(76)=同市門前町深見=は「巡回展がやってくることを心待ちにしていた。素晴らしい作品を見ることができ、来年は出展してみたくなった」と創作意欲を高めた。

  ●会期23日まで

 輪島展は奥能登で唯一の巡回展となる。日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門で、本展に展示された1110点のうち、委嘱出品46点、一般出品24点が公開された。

 会期は23日までで、入場料は一般630円、高校・大学生320円、小中学生150円。20人以上の団体割引もある。

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