写真の魅力、休日に堪能 県美術館の「前衛」展、17日まで

解説に聴き入る来館者=富山市の富山県美術館

 富山新聞創刊100年記念の企画展「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容」(富山県美術館、富山新聞社、北國新聞社など主催)は会期終盤の週末を迎えた15日、富山市の同館で作品解説会が開かれた。昭和期の写真の魅力に理解を深めた愛好家らがゆっくりと館内を回り、気に入った1枚の前で足を止めて見入った。

 同館の八木宏昌上席専門員が1930年代の前衛的なモノクロの作品から、ありのまま日常をとらえた80年代のカラー作品まで魅力を解説した。

 八木氏は、美術評論家瀧口修造(富山市出身)が写真の記録性を重視したことや、写真を加工しすぎることに警鐘を鳴らしたことなどを紹介した。写真家大辻清司が瀧口の理論を突き詰めて「なんでもない写真」にたどり着いたとし「ありのままの姿をとらえることの面白さを日常風景を撮影することで表現しようとした」と語った。

 企画展では、瀧口、大辻のほか、洋画家阿部展也や写真家牛腸(ごちょう)茂雄らの作品、資料などを展示している。17日まで。観覧料は一般900円、大学生450円、高校生以下無料。

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