現美の熱気奥能登に 70年ぶり輪島展、15日開幕

地元作家らの意欲作を鑑賞する開場式出席者=輪島市の石川県輪島漆芸美術館

  ●名品71点展 示漆芸美術館で開場式

 第79回現代美術展輪島展(一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社、輪島市など主催)の開場式は14日、同市の県輪島漆芸美術館で行われた。輪島では1953(昭和28)年の9回展以来、70年ぶりの巡回展となり、出席者は奥能登に広がった現美の熱気を美術王国・石川の飛躍につなげることを誓った。15日から一般公開され、地元の人間国宝の秀作をはじめ、6部門の計71点が並ぶ。

 県美術文化協会会長の飛田秀一北國新聞社会長はあいさつで、県内在住の人間国宝9氏のうち、輪島は前史雄(沈金)、小森邦衞(髹漆(きゅうしつ))、山岸一男(沈金)の3氏が名を連ねていることを紹介。「美術家の層が厚く、裾野も広い輪島で70年ぶりに現美の巡回展が開催できることをうれしく思う。来年以降も続いていくことを期待したい」と述べ、会期中の盛況を願った。

 坂口茂輪島市長は、中学、高校生による団体鑑賞の機会が設けられていることに触れ、「現美とその後の国民文化祭を通じて、輪島の美術文化のさらなる振興を図りたい」と意欲を語った。大宮正市議会副議長が玉岡了英議長の祝辞を代読し、関係者はテープカット後に会場を巡った。

 輪島展は奥能登で唯一の巡回展となる。日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門で、本展に展示された1110点のうち、委嘱46点、一般25点の計71点が公開される。一般の部で最優秀賞・県美術文化協会会長賞に輝いた田中義光氏(輪島市)の蒔絵(まきえ)箱など、能登在住の入賞・入選者の意欲作からベテランの名品までが一堂に並ぶ。

 会期は23日までで、入場料は一般630円、高校・大学生320円、小中学生150円。20人以上の団体割引もある。

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