「かわいい」世代超え女子のハートわしづかみ 原田治展開幕、福井県あわら市の金津創作の森美術館

原田治さんが手掛けたキャラクターグッズに見入る来場者=7月15日、福井県あわら市の金津創作の森美術館

 1970年代後半から90年代、ティーンエージャー女子の人気を集めた「OSAMU GOODS(オサムグッズ)」。生みの親のイラストレーター原田治さん(1946~2016年)の仕事を紹介する「原田治展『かわいい』の発見」が7月15日、福井県あわら市の金津創作の森美術館で始まった。時代を超えて愛されるファンシーグッズ約400点が来場者のハートをつかんでいる。

 原田さんは70年にファッション誌「an・an」でイラストレーターとしてデビューした。高度成長華やかなりし時代。雑誌の表紙画や挿絵の仕事が次々と舞い込み、デザインが消費されていく中で「流行より普遍性」を模索し、たどり着いた「かわいい路線」。76年にオサムグッズとして産声を上げた。

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 ジルやジャック、ベティ、ハンプティ・ダンプティなど、おなじみのキャラクターをあしらったトートバッグやクッション、ステーショナリー、ハンカチ、キーホルダー、マグカップ…。かつての女子中高生の必携アイテムが所狭しと並ぶ会場に、開幕を待ちわびたファンが次々と訪れた。

 明るく健康的な表情に、ほんの少しの切なさを隠し味に加えるのが原田さん流キャラクターデザイン。カルビーポテトチップスやミスタードーナツのキャラクターにも流儀は生かされ、ポップな色彩や飽きのこないシンプルデザインと相まって、世代を超え来場者の注目を集めている。

 一番乗りした石川県金沢市の女性(52)は「お小遣いをためてグッズを集めた中学生時代を思い出した。キャラクターが描かれた景品のグラス欲しさにミスタードーナツを買っていた」。娘(22)は「昔のお母さんが好きだったものを私が今、同じようにかわいいと思えるなんて素敵」と話していた。

 北陸初の全国巡回展。オサムグッズをはじめ、20代前半のニューヨークでのイラスト修業時代の絵、「an・an」「ポパイ」「ブルータス」など表紙画を手がけた雑誌、装丁を担った赤川次郎さんや浅田彰さんらの書籍も並ぶ。

 9月24日まで(休館日あり)。復刻版グッズなどを扱うショップもある。金津創作の森美術館=電話0776(73)7800。

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