新文化施設は「何らかの形で必要」 鈴木長崎市長インタビュー 計画再考も、都心部での整備検討

就任3カ月を前にインタビューに応じた鈴木市長=長崎市役所

 長崎県長崎市の鈴木史朗市長は就任3カ月を前に、15日までに長崎新聞社のインタビューに応じ、新たな文化施設を「何らかの形で造る必要はある」との考えを示した。市庁舎跡地(桜町)での建設計画について再考すると先月表明したが、建設しない選択肢は否定した形だ。一方で建設地やスケジュールは「いろいろな議論がある」と明言を避けた。
 新たな文化施設は、2015年に廃止した市公会堂(魚の町)の代替。県庁舎跡地(江戸町)での整備方針が一度固まったが、跡地で遺構が出土したことなどを受け、市は20年、早期整備が見込める市庁舎跡地に建設地を変更した。基本計画も今春策定したが、その後就任した鈴木市長は初の定例会(7日閉会)に設計予算の提案を見送った。
 鈴木市長は「市庁舎跡地は長崎駅前エリアと、浜町を中心とする『まちなか』エリアをつなぎ、人を回遊させる上で重要」と強調。そこに文化施設を造ることを決めた過去の経過について「他の候補地がないか網羅的に考え、比較検討し、最終的に『市庁舎跡地しかない』と決めたという議論は見当たらず、ふに落ちない」とし、今回の再考に至ったと説明した。
 そのため市庁舎跡地の活用策は「まちづくりのグランドデザイン(全体構想)を描きながら考える」と、定例会で繰り返してきた鈴木市長。長崎駅やまちなか、平和公園(松山町)以南の浦上川沿いといった「都心部」については、人の回遊性向上や経済活性化などに向けた方針「都心まちづくり構想」を本年度中に策定予定で、今後描くグランドデザインの「骨格として使えるところは使う」という。一方で市東部や北部などの「周辺部」を含めた市全域でグランドデザインを考えていくとし、「都心部と周辺部をつなぐ交通などのネットワークも盛り込む必要がある」と述べた。
 文化施設の建設地は市庁舎跡地以外であっても「基本的には都心部の中で考えていく」と言明。県庁舎跡地での建設については「その可能性を検討するかどうかを含め、県と連携して考えていく」と慎重な言い回しに終始した。資材費や人件費の高騰で、概算建設費は昨秋時点でも当初の倍以上の60億円台後半に膨らんでおり「議論の前提が変わることもある。環境の変化もにらみながら考える」と語った。
 文化施設が公会堂の代替施設であることも踏まえ、「いろいろな文化団体から文化活動に支障があるという声や、早く文化施設を整備してほしいという声がある。しっかり受け止めて、スピード感をもって検討していきたい」としたが、決断の時期は明確に示さなかった。


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