【茂木】昭和初期に開通目前まで工事が進んだ未成線「長倉線」にまつわる歴史を掘り起こし、鉄道建設に懸けた先人の営みをたどる企画展「幻の長倉線-語り継ぐ先人の想(おも)い-」(町教育委員会主催)が15日、ふみの森もてぎで始まった。旧中川村所蔵史料を中心に、貴重な初公開の史料や写真等を集めた。10月9日まで。
展示は同館で昨年開催したテーマ展「幻の長倉線-地域発展にかける夢-」に続く内容。国や国会を巻き込んだ動きが分かる請願関連史料などを中心に続編として構成した。
「大峯山トンネル」など長倉線工事の写真や鉄道用地実測図、下野中川停車場取り付け道路設計図などの展示史料からは、先人の情熱や苦労の跡を実感できる。中央と地元の動静を伝える当時の下野新聞の記事も見ることができる。
展示は1、2章で真岡、茂木までの鉄道建設や烏山方面への延伸、メインの3章で茨城県内から茂木、烏山を経て同県大子まで結ぶ「長大線」の一部だった長倉線を含め、県境の鉄道建設の足跡を追っている。
大町庄五郎(おおまちしょうごろう)中川村長が常磐線の大甕(おおみか)(茨城県日立市)と茂木を結ぶ鉄道の早期建設を訴えた1921(大正10)年9月の「甕茂(みかも)鉄道促成請願趣意書」や、長倉線建設の直接的契機となる22(大正11)年4月公布の「鉄道敷設法」条文など、貴重な史料が並んでいる。
長倉線はその後熱心な請願運動を経てようやく37(昭和12)年着工されたが、戦争のため41(昭和16)年に工事は中断した。
15日に訪れた真岡市高勢町1丁目、会社員花岡雅浩(はなおかまさひろ)さん(60)は「日本全国で同様の動きがあったのだろう。とても興味深い」と話した。
8月6日には同館で関連講座が開催される。(問)ふみの森もてぎ0285.64.1023。