原爆が奪ったものを考えて 被爆前後の写真資料を公開 長崎大レクナ 23日にフィールドワーク

航空写真アーカイブ作製を進める林田特任研究員(右)と松本さん(中央)、大園さん=長崎市、長崎大

 長崎県長崎市文教町の長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は14日、林田光浩特任研究員(31)と県内の大学生2人が被爆前後の長崎市の航空写真アーカイブ(資料)の作製を進め報道陣に公開した。アーカイブは23日、レクナが開催するフィールドワークで使用する。小中学生の参加(保護者同伴可)を募っており、20日締め切り。
 レクナは2021年度から国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(同市平野町)から受託して被爆の実相のオンライン化とデジタル化を進めている。事業の一環として資料を使った学びを提供している。
 作製作業は▽被爆前後の地図上に浦上駅などの地名を登録▽昔の浦上駅のホームで待つ人々の写真に説明文を付ける▽その写真を地点に登録-と進めた。今後、100地点以上、写真200枚の登録を目指す。
 航空写真アーカイブを生かしたフィールドワークは初めて。旧城山国民学校エリアを中心に、タブレットを使って航空写真アーカイブを見て、被爆前後の風景と目の前の町並みを比べながら歩く。
 ガイドを務めるのはアーカイブ作製にも携わっている活水大4年の松本海奈さん(21)と、県立大4年の大園穂乃佳さん(21)。松本さんは「小学生に伝わるように、買い物をする場所など日常に近づけた説明をしたい」、大園さんは「年齢の近い私たちが伝えられることがあるはず。子どもたちに自分事として平和の問題を捉えてほしい」と話した。
 林田特任研究員は「当時の人がどんな風に暮らしていたかイメージする機会はあまりない。アーカイブを見て、何が原爆によって奪われたか考えてほしい」と参加を呼びかけている。
 フィールドワークは23日▽午前10時~正午▽午後2時~4時、各回の定員10組。長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館地下ラウンジに集合。無料。申し込みはメール(hayashida-m@nagasaki-u.ac.jp)か電話(080.8040.3656)で。

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