多彩な経験、創作生きる 山形美術館で個展開催中の洋画家・遠藤さんが講演

遠藤彰子さんが制作過程や作品について解説した講演会=山形市・山形美術館

 山形市の山形美術館で開かれている「遠藤彰子展 巨大画で挑む生命の叙事詩」の関連イベントとして、洋画家遠藤彰子さん(75)=相模原市=の講演会が15日、同館で開かれた。遠藤さんは自身の経験に触れ、「自分の頭の中だけで考えると、同じような絵になってしまう。食や自然などさまざまな問題を考えたり、本を読んだりするとヒントが出てくる」と創作のアドバイスをした。

 遠藤さんは展示作を中心に、小さい頃に描いた絵や創作活動中の写真、動画をスライドで見せながら、作品のコンセプトや大作の制作過程などを解説した。16歳時の心情を表現した「黄昏の笛は鳴る」(1991年)は、炎に照らされる少女や怖そうな犬が描かれている。「絵の具を重ねていったら重くなりすぎたので削ったところ、ばっと炎が見えてきた。初めての感覚で、印象に残っている。火や水など抽象的なものを入れると、画面に動きが出やすくなる」と話した。

 聴講者から「長井の『卯の花姫』伝説が絵になりうれしい。どんな思いで描いたのか」との質問があり、遠藤さんは「竜が地域を守っていることを表現したかった。搬入の前日まで何度も直しながら仕上げた。山形の人のために描いたので見てほしい」と語った。

 今後も多彩な関連イベントを企画しており、16日午前11時からは遠藤さんのギャラリートークを開く。同館学芸員の「イチ推しトーク」は27日にスタートし、来月24日まで毎週木曜の午前11時から、計5回を予定している。29日は山形市在住の怪談作家黒木あるじさんのナイトミュージアム(事前申し込みが必要)、来月5、6の両日は「遠藤彰子芸術道場」を実施する。

 同展は山形新聞、山形放送の8大事業。横7メートルを超える大作などで知られる遠藤さんの油彩画や彫刻など80点を展示している。来月27日まで。

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