「新たな戦前」に報道はどう対峙? 広島、長崎、沖縄の元記者など議論 オンラインでシンポジウム 

広島、長崎、沖縄を結んで開かれたオンラインシンポジウム

 「“新たな戦前”にジャーナリズムはどう対峙(たいじ)するのか~広島、長崎、沖縄からの問いかけ~」と題したシンポジウムが15日、オンラインで開かれた。安保関連3文書に反撃能力(敵基地攻撃能力)保有が明記され、防衛費が拡大される中、戦争を起こさせないための報道の役割を議論した。
 日本ジャーナリスト会議など主催。元広島市長で中国新聞社編集局長などを務めた平岡敬さん、元NBC長崎放送記者の関口達夫さん、沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんがパネリストを務めた。
 戦後間もない時期に新聞記者になった平岡さん。戦時中、大本営発表を掲載し続けた新聞を「恥ずかしい」としながらも「当時は真実を伝えることで罰せられることがあった。でも今はそんなことはない。自分はなぜジャーナリストになったのかを考え、勇気を出して真実を書いてほしい」と述べた。
 関口さんは「敵基地攻撃能力保有で本当に国民の安全が守られるのかという報道は少ない。今の報道は戦時中と同じ過ちを犯そうとしている」とし、「自分は被爆者や戦争体験者の話を多く取材し、その残酷さを学んできた。若い記者には空襲などを経験した人から当時の話はもちろん、今の危うい状況をどう思っているか取材し、伝えてほしい」と歴史から学ぶことの重要性を語った。
 高里さんは「1945年3月に米軍が沖縄に上陸し、今ウクライナでロシア軍がやっているようなことをやっていた。(戦争では)女性や子どもが犠牲になる」と指摘した。

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