議員バッジ、1個6万6千円なり 都道府県で最高額は福岡と青森 金価格上昇で高騰、兵庫は1万4300円

兵庫県議会の議員バッジ。4年前に支給された金張りのバッジ(中央)はやや劣化が見られるが、継続使用に問題はなさそうだ

 多くの地方議会で当選時に公費で配られる議員バッジが、金の価格上昇で値上がりしている。47都道府県議会では、4月の統一地方選後、38議会が全議員に新品を配布したが、うち32議会で4年前よりも単価が上昇。最高額は福岡と青森県で、前回の約2倍となる1個6万6千円だった。高騰を受けて安価な素材に変更した議会もあり、兵庫県議会でも一部から「見直しが必要」との声が出ている。

 6月下旬、各議会事務局にアンケート形式で尋ね、全議会から回答を得た。

 統一選で改選を迎えた41議会でみると、山形、福井、三重の3県は支給や貸与の対象を新人と元職に限定。連続2期目以降の議員は前任期までのバッジを継続して使っている。

 全議員に配った38議会で最高額だった福岡県議会(定数87)は主に18金などを使った本章に加え、3万8500円の略章も配布。二つ合わせた費用は1人当たり10万4500円に上り、議会全体では900万円を超えた。

 同じく最高額の青森県議会(定数48)も18金製で、規定上は「貸与」する形だが返却を求めておらず、今後は任期終了後に回収するという。このほか、愛知が5万円台、広島など5県議会が4万円台だった。

 兵庫県議会(定数86)は1万4300円で、4年前(8640円)の1.7倍に。全国的には最も多い価格帯だが、5期目の丸尾牧議員(尼崎市選出)は「支給は1期目限りとし、2期目以降は必要に応じて実費購入」とするよう提言。今期は新品を受け取らず、過去のバッジを着けている。

 単価が1万円未満の議会も6議会あった。大阪府議会(定数79)は純金製から、金メッキを施した真ちゅう製に変更し、約2万1千円が3740円と5分の1以下になった。地元産木材のPRで木製の略章(3190円)も作ったが、合わせても7千円以下に。滋賀県議会(同44)も素材を見直し、4分の1の約6400円に抑えた。

 今春、選挙のなかった6都県で最高は岩手県議会の1個約4万円。東京都議会は1万2980円だった。

 金は不況でも暴落しない「有事の安全資産」とされ、新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢を受けて価格が上昇。地金大手の「田中貴金属工業」(東京)によると、2019年4月の小売価格は1グラム4661円だったが、23年4月には同8620円まで値上がりした。(田中陽一、金 慶順)

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