五島の“音風景”奏でる 佐世保出身のピアニスト・八坂さん、作曲家・ゼミソンさんとコラボレーション

五島の自然の音からインスピレーションを受けた曲をピアノ演奏する八坂さん=五島市、福江文化会館

 佐世保市出身でカナダを拠点に活動するピアニスト八坂公洋さん(38)と、カナダ出身の作曲家ダリル・ゼミソンさん(43)=福岡市=による五島のサウンドスケープとピアノ演奏によるコンサートが15日夜、五島市池田町の福江文化会館であった。
 同市のNPO法人BaRaKa(片岡優子代表理事)が主催する「五島海のシルクロード芸術祭」として開催した。
 サウンドスケープは「音の風景」を意味する造語。京都などで作品を手がけた九州大芸術工学部助教のゼミソンさんが五島に関心を寄せ、知人の八坂さんとコラボレーションした。ゼミソンさんは昨年4月から季節ごとに4回、五島列島を訪問。仏教や神道、キリスト教の宗教関連施設のほか、遣唐使ゆかりの地など歴史に関連する場所、海岸や川などの自然を巡って録音、撮影した。八坂さんも昨年夏に福江島を訪れた。
 完成したサウンドスケープ作品は「五島(アーキペラゴ=英語で島々の意味)」。「地・水・火・風・空」の5楽章で75分。鳥や虫の鳴き声、川のせせらぎ、風の音、船のエンジン音に八坂さんがインスピレーションを受けたピアノの音を加え、ゼミソンさんが作曲した。
 コンサートでは、スクリーンに各地の映像が流れ、八坂さんが音域を広く使いながら、ときに激しく、ときにささやくように演奏。楽章ごとの間奏は即興で音を奏でた。
 来場した同市内の60代女性は「波の音など、子どものころから聞いている音とピアノが融合して心地よかった」と話した。ゼミソンさんは「水中の音など普段聞こえない音も取り入れ、さまざまな角度から五島を探求したかった」、八坂さんは「島の象徴的な文化をどう表現できるか考えた。ゼミソンさんの作曲を通して日本の伝統を再発見し、興味深かった」と語った。
 17日午後2時からは、新上五島町有川郷の鯨賓館ホールで開く。

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