不登校生らの「自分らしさ」支え25年 神戸のフリースクール理事長、開校時を振り返る

「25年はあっという間だった。子どもの声を聞きにきてほしい」と話す中林和子さん=神戸市垂水区瑞穂通7

 少子化の進む中、不登校の子どもたちは増え続けている。そんな子どもたちが「自分らしく」過ごせる場所を提供し、200人近くの自立を支援してきた神戸市垂水区のフリースクール「For Life(フォーライフ)」が25周年を迎え、23日に記念事業を行う。(鈴木久仁子)

 「For-」の開校は1998年4月。元教師だったNPO法人ふぉーらいふの中林和子理事長の自宅からスタートした。「不登校に悩んでいた子どもたちのため実現に踏み切ったが、当時はまだ不登校への理解不足で偏見もあり、場所を貸してもらえなかった」と振り返る。

 それでも体験活動などを重ね、「淡路島で空き家を改修して活動施設をつくろう」という取り組みは、テレビニュースでも取り上げられた。それを機に「ひとりひとりの個性を伸ばすような活動をしているのですね」などと言われ、徐々に地域の理解も得られるようになっていった。もっぱらの悩みは資金調達で「お金の心配は25年たっても変わらない」と苦笑いする。

 それでも、巣立っていった子どもたちが「ここでの経験を糧に、つまずいても起き上がり、たくましく生きていく姿に触れると、やってきてよかったと思う」と目を細める。

 記念事業「こどもが語るフリースクール」の第1部は在籍する2人と出身者の大学生と社会人の4人が登壇。「フリースクールに来た理由」「不登校を振り返る」「何を学び、どんな将来を目指しているのか」などをテーマに当事者たちが語るシンポジウム。第2部では「For-」の矢野良晃副理事長が「おとなが話す閉校危機を乗り越えた、いま」と題し、これまでの歴史の中で直面した危機やコロナ禍などについて語る。

 当日は関連書籍「子どもと作る自由な学校~全ての子どもに自分らしく輝ける場所がある~」(ギャラクシーブックス)、「不登校の子どもとフリースクール~持続可能な居場所づくりのために」(晃洋書房)も販売。

 記念事業は23日午後1時半~3時半、神戸市産業振興センター8階(ハーバーランド)。千円。要申し込みTEL078.706.6186(FAX同)

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