小物販売、動物園支え20年 茨城・日立のボランティア団体 売り上げ寄付 体毛や羽根で手作り

動物が落とした羽根などで作ったグッズを販売する「みねこクラブ」のメンバー=日立市宮田町

茨城県日立市かみね動物園(同市宮田町)で小物や雑貨類を販売するボランティア団体「みねこクラブ」が、今年で設立から20年を迎えた。雑貨類の「素材」は、飼育動物が落とした体毛や羽根、抜け殻などさまざま。月1回開く販売会の売り上げは動物の餌代として全額寄付しており、「これからも活動を維持できれば」と意気込む。

◇商品購入で応援

「今日はどちらから?」「ヤマアラシに触ったことはある?」。同園で今月開かれた販売会で、クラブ会員が親子連れに気さくに声をかける。テーブルには手作りの小物類がずらり。珍しそうに品定めする来園者に、会員が解説する場面もあった。

扱う雑貨は、ヤマアラシのとげを使ったブレスレットやホロホロチョウの羽根を生かしたドリームキャッチャー、財布に入れるヘビ皮など。会員以外から寄せられる手芸品を含め、商品価格は高くても千円未満に設定している。

家族4人で訪れた同市の会社員男性(37)は「子どもたちが身近に動物の一部に触れられる。寄付となり協力できるのがいい」と話した。

◇手探りでスタート

クラブは2003年設立。現在は同市内外の17人が所属し、2月と8月を除く毎月第1日曜日に販売会を開いている。

設立のきっかけは、同市の生涯学習活動「ひたち生き生き百年塾」だ。同園の前園長がメンバーだったことで、同塾の北部地区市民教授有志がクラブを立ち上げた。最初は鳥の羽根の販売から始まり、手芸の得意な会員が羽根や抜け殻を生かした小物類を販売するようになった。

初代会長を務めた同県高萩市の山田成さん(88)は「当初は手探りの状態。あちこちの動物園を参考にした」と振り返る。

20年の歴史の中で、動物園の姿も変わっていった。全国各地の動物園で動物福祉を重視した運営が広がり、同園でも動物本来の行動を引き出す展示や、生息環境を再現した施設への切り替えが進んだ。

山田さんは動物園を巡る環境変化を振り返りながら「少しでも動物の助けとなるため、いい物を作ろうと活動してきた」と話した。

◇課題は人材確保

動物の餌代として寄付される売り上げは年間約30万円。2年ほど前からは、同園入り口でも常設販売を実施している。生江信孝園長(67)は、クラブの活動を「動物に関心を持ってもらえる取り組み」と歓迎する。

今後も活動を続けるに当たり、課題は協力者を増やすことだ。クラブの蛭田三雄会長(76)は「ここまで活動が続くとは思わなかった」と驚くとともに、「品物を作る人と、購入する来園者の気持ちとの好循環を生み出していきたい」と意欲を見せる。

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