競輪選手29年、現役退きパーソナルジム開業 福井県の松山勝久さん「筋トレの入り口を広げたい」

自宅を改装し、ジムを設立した松山さん=福井県福井市上中町

 2022年12月限りで29年にわたる現役生活を終えた元競輪選手の松山勝久さん(48)が、パーソナルジム「BODY GROW」を福井県福井市上中町の自宅にオープンした。今春から活動を本格化し、「筋トレの入り口が広くなればいい」とスポーツ経験の有無にかかわらず利用客の指導に当たっている。

 同県勝山市出身の松山さんは科学技術高を卒業後、競輪選手となり、1994年にデビュー。2003年には地元福井でS級初優勝を飾った。現役時代から結果だけでなく、それまで積んできた練習の過程が次の糧になると考えていた松山さん。「筋トレも同じで、続けて悪くなることはない」と話す。さらに他のアスリートのセカンドキャリアの参考になればという思いもあり、ジム設立に動いた。

⇒地元に分娩する医療機関ないから…福井県勝山市の女性が地域唯一の助産院を開業

 自宅の8畳の和室の床にタイルを張るなどして改装。スクワットやベンチプレス、懸垂が1台でできる機器を設置し、ダンベルなども準備してジムを作り上げた。今年2月のプレオープン以降、口コミで情報が広まり、これまで約30人が利用。1回1時間5千円(ペアは1組7000円)で指導している。

 競輪選手を志す若者もいるが、多くは30代以上のトレーニング初心者だという。厳しい食事制限が原因でジム通いを辞めた知人の声を参考に「お酒や食事は楽しんで、また筋トレを頑張ればいい」と、利用客が長く継続できるように心がける。

 どのトレーニングが体のどの部分に効くのかは「自分で実証しないとお客さんに言えない」。競輪選手として培ってきた経験に加え、インターネットなどで見つけた新たなトレーニングを自身で試し、探求する日々を重ねる。

 松山さんは「(トレーニング)機器をもっと生かせる方法を勉強したいし、ペアで来る人がお互いに競えるようなことも考えたい」とも語る。今後に向けた構想は膨らむばかりだ。

© 株式会社福井新聞社