繰り返された大雨災害 九州北部豪雨から1週間 RCC取材班報告 広島

九州北部の大雨からきょうで1週間です。災害発生の当日から、大分県と福岡県にJNN取材団としてRCCの取材班が入りました。

7月10日、RCC取材班は大雨特別警報が出された大分県中津市に入りました。

山国川が氾濫し、緊急安全確保が出された耶馬溪町では、軽乗用車に乗っていた50代の女性が行方不明になりました。

家森亮記者
「女性のものとみられる軽乗用車は国道の上で見つかったということですが、車の中に女性の姿はなかったということです」

女性は14日、福岡県の沖合で遺体となって見つかりました。この地域では、2012年と2017年の7月にも豪雨災害に見舞われています。6年前の豪雨では福岡県と大分県であわせて40人が死亡するなど大雨による災害が繰り返されてきました。

家森亮記者
「山国川にかかるこちらの橋では対岸に続く部分が流されているのが確認できます」

近所の住民
「水害で流されて、そのあとに架け替えて、また流された。2回流され今回が3回目」

近くの集落では、電柱が川に流されたため、停電が続いていました。

家森亮記者
「こちらの電柱、根もとから折れて大きく倒れています」

地域の住民
「上水道、簡易水道その水をくみ上げる電気が今もない。みんな今日は風呂に入るなと、節水をして復旧までつなごうじゃないかと」

翌11日、取材班は道路が寸断され、孤立している集落があると聞き、大分県との県境、福岡県の東峰村に入りました。

家森亮記者
「住宅の裏の法面が大きく崩れています。斜面の上にはBRTと呼ばれるバス専用道路があるということです」

東峰村では、6年前の九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線の区間が「BRT」=バス高速輸送システムに切り替えられ、来月開業する予定でした。

すぐ下の民家にはバス専用道路の下に敷き詰められていた石が大量に押し寄せていました。

家の住人
「法面のところに石をつめているんです。一番上から水がオーバーフローして、その勢いが強くなって、途中から石が抜けてどんどんえぐって、流れてきた」

6年前にも破壊された村の重要なインフラは、二度にわたって被害を受けました。災害は村の産業にも被害を与えました。村内には、国の伝統工芸品に指定されている「小石原焼」の窯元が42軒あります。そのうち11軒が土砂の流入などの被害を受けました。

40年以上続く秀山窯の三代目、里見武士さんです。

秀山窯・里見武士さん
「ここから、このドアから土石流が」

10日午前7時過ぎに里見さんが撮影した動画です。山から流行落ちた土砂と雨水で、工房の中は川のような状態になっていました。3代続く釉薬を使った独特の藍色は、「秀山ブルー」と呼ばれています。

秀山釜が大雨の被害を受けたのも、今回が初めてではありません。6年前の九州北部豪雨でも、工房は土砂に埋まりました。

再び窯に火が入ったのはおよそ2か月後。工房の裏山には砂防施設も建設されました。しかし、土砂はまたも工房に流れ込んだのです。

秀山窯・里見武士さん
「村も県もこれで相当な豪雨がきても耐えうるだろうというお墨付きをいただいていたんですけど、またこういう状態なんで。6年前は(水路から)土石流が鉄砲水みたいにドーンと出たんですよ、今回は水が四方八方から出てきて」

記録的な大雨となった10日は、作品を東北まで運ぶ予定でした。

秀山窯・里見武士さん
(Q今回も同じようなことをもう一度?)「そうなりますよね、はい。技術は持ってますから、復旧さえすれば物は作って焼き上げられますので、できるだけ焦らず、ゆっくり・・・」

窯元の火を絶やさぬよう、伝統工芸の復旧はこれからです。

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