フランス出身留学生3人 原爆紙芝居を英訳 長崎県被爆者手帳友の会・三田村副会長の体験基に

三田村さん(左)の話を聞く(右から)ダベクさん、ルテリエさん、レイエマンビさん=長崎市松山町、ヒバクシャ・コミュニティ・センター

 長崎外国語大のフランス出身の留学生3人が、長崎県被爆者手帳友の会の三田村静子副会長(81)が自身の体験を基に作った原爆紙芝居を英訳するプロジェクトを進めている。核保有国の学生が翻訳を通して被爆の実相に触れ、理解を深めた。
 英訳に取り組んでいるのはレイエマンビ・シャイナさん(20)、ルテリエ・エミリーさん(22)、ダベク・エロディさん(20)。同大生が長崎の歴史や平和活動などについて学ぶ「平和学」の一環。講座を担当するクラウゼン・ダニエル講師から相談を受けた知人の横山理子さん(長崎市在住)が企画し、友の会に協力を要請した。
 3人は6月から同会が関わるイベントに参加。三田村さんや会員と交流しながら理解を深め、翻訳に取りかかった。母国語ではない英語での翻訳は難しく、日本人の友人の力を借りながら約15時間かけて紙芝居に書かれた文章を英訳。言いたいことが正しく伝わるよう、情景を想像しながら一つ一つの単語を選んだ。
 翻訳の過程で、核兵器に対する考え方にも変化が起きた。ルテリエさんは「今まで核兵器に反対ではなかったが意見が変わった。使うべきではないし、禁止すべき」、レイエマンビさんは「学校やメディアで知ることと被爆者の話を聞くのは全く違った。何を見て何を感じ、どう怖かったかが伝わり、感情を揺さぶられた」と語り、被爆体験に心を動かされた様子だった。

「長崎の鐘」を鳴らす活動に参加する(後列右から)レイエマンビさん、ダベクさん、ルテリエさん(左から3人目)と三田村さん(左端)=長崎市松山町、平和公園

 「長崎で学んだことをフランスに帰って友人に話すか」。横山さんが尋ねると、ダベクさんはこう答えた。「意見が変わるかはその人次第だけど、戦争の影響や命の尊さなど、私が長崎で何をして何を聞き、どんな影響を受けたかは伝える」
 紙芝居の英訳は今月29日午後1時半、長崎市松山町のヒバクシャ・コミュニティ・センターで披露する。入場無料。定員30人。申し込みは同会(電095.849.1494)。

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