特攻隊員に手向けた平和祈願の折り鶴を「再生紙」に はがきや便箋…杏林大生ら発案

平和祈念の碑苑に折り鶴をささげる中学生=soraかさい

 太平洋戦争中、パイロットを養成した姫路海軍航空隊鶉野飛行場跡(兵庫県加西市鶉野町)に市が整備した平和学習拠点「sora(そら)かさい」で、亡くなった兵士を追悼し、小中学生や高校生がささげた折り鶴が、はがきや便箋に再生されている。子どもたちが祈りを込めた折り鶴は生まれ変わり、新しいメッセージを乗せて飛び立つ。(敏蔭潤子)

 同飛行場は1943年に完成。10~20代の若者が操縦訓練に励んだ。45年、戦況の悪化に伴い、爆弾を抱えて米軍の艦船に体当たりする特別攻撃隊「白鷺(はくろ)隊」が編成され、若い操縦士たちは沖縄戦に出撃。63人が命を落とした。

 飛行場跡には、当時の滑走路や防空壕(ごう)の跡が残る。昨年4月にオープンしたsoraかさいで、特攻隊員の写真や手記を紹介していることもあり、2022年度は県内外の小中高校から100校以上が修学旅行などで平和学習に訪れた。

 子どもたちは訪問前に、特攻隊や鶉野飛行場について学習。犠牲になった特攻隊員の名前が刻まれた石碑「鶉野平和祈念の碑苑」に折り鶴を手向け、平和の誓いを新たにする。

■加西市が就労支援施設に製作依頼

 その折り鶴を使った再生紙を発案したのは、杏林大学(東京都)観光交流文化学科の学生たちだ。同科は旅行を題材にした地域振興を研究しており、平和学習にsoraかさいを訪れる児童生徒が増加していることに着目。祈念碑に折り鶴を置く生徒の写真を見て「この気持ちを無駄にしてはいけない」と、再利用を考えたという。

 製作は加西市が、平和記念公園(広島市)に贈られた千羽鶴で再生紙を作っている同市の就労支援施設「ポレポレファクトリー」に依頼。細かく裁断して再生紙にすき込む。はがきや便箋には、同大学の学生がデザインした折り鶴の絵などをあしらった。

 学生たちは「一羽一羽、苦労して、大切な人を思いながら折った」と、自ら千羽鶴を作った経験を踏まえて「祈りや魂がこもった紙を再生して、ここにしかない商品を作りたかった。平和の記念品にしてもらえたら」と願う。

 はがき130円、便箋(A4判)390円。soraかさいTEL0790.49.8100

© 株式会社神戸新聞社