内戦続くスーダンの実情知って 駐在NGO職員・今中さん 長崎市内で報告会

スーダンの現状を報告する今中さん=長崎市大浦町、長崎聖三一教会

 内戦が続くスーダンの現状を、東京のNGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」の現地駐在員、今中航さん(34)が9日、長崎市内で市民らに報告した。戦闘によって食料が不足していることや学校に通えない子どもたちの実情を訴えた。
 スーダンはアフリカ大陸の北東部に位置し、人口約4500万人。4月15日、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が軍事衝突し、首都を中心に現在も戦闘が収まらない。死者は千人を超え、地方や国外への退避者は280万人以上に上る。
 JVCは世界6カ国で人道・開発支援など国際協力をしている。今中さんは京都府出身。2013年から3年間、長崎市の三菱重工業に勤務し、火力発電に携わっていた。18年11月から同国へ駐在し、井戸の修理や維持・管理を整える給水支援や子どもたちへの就学支援をしていたが、5月に日本に一時帰国した。
 今中さんはスーダンの文化や戦闘中の町の様子などについて語り「兵士たちに食糧倉庫が略奪されている」と報告した。建設した井戸も空爆されるなどしており「教育など物ではない支援が大切になってくる。技術や知識があると前に進んでいける」と若年層への教育の重要性を強調。「今後も諦めずに、何ができるか常に考えていく」と話した。
 来場者は約10人。スーダン人で長崎市の会社員、ムサブ・テイマン・イドリス・ガサブさん(35)は「子どもの教育の不十分さや水不足に心が痛み、自分も母国のために何かしたい」と話した。

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