平戸から広がった「銀線細工」 オランダ商館で企画展 精巧な香器など97点 8月27日まで 

来場者の注目を集めた進藤春雄さんの作品「銀線香器 楓」=平戸オランダ商館

 16世紀中ごろポルトガルから平戸に伝わり、日本国内に広まった伝統工芸「銀線細工(フィリグラーナ)」の企画展が、長崎県平戸市大久保町の平戸オランダ商館で開かれている。8月27日まで。
 フィリグラーナは金や銀を繊維状にした金糸、銀糸(0.2~0.3ミリ)をより合わせ、精巧なレース模様をつくるポルトガルの伝統工芸。1550年、ポルトガル船が平戸に来航したことをきっかけに、技法が日本に広まったとされる。江戸時代の書物「装剣奇賞」にはフィリグラーナの技法の名称が「平戸」と紹介されている。
 現在、平戸には銀線細工は残っておらず、松浦史料博物館に2点の作品があるだけ。国内では秋田の伝統工芸「秋田銀線細工」として受け継がれている。
 企画展には「秋田銀線細工」の第一人者で国が選んだ2005年度の「現代の名工」、進藤春雄さん(77)の作品や、長崎純心大学博物館、コレクターなどの所蔵品計97点を展示している。
 7日夕、進藤さんを招いた内覧会には市内外から約50人が来場。香器、かんざしや根付け、ペンダントなど繊細な作品に来場者から驚きの声が上がった。佐賀県有田町のアルバイト、井上美羽さん(21)は「有田町の工房で彫金を習っている。素晴らしい作品を見ることが刺激になる」と話した。
 進藤さんは「こんなに(銀線細工を)長くやるつもりはなかった。おかげで松浦家現当主や平戸の人たちと縁ができた。平戸で自分の作品を見てもらえるのは感無量」と話した。
 企画展の入場料は大人310円、高校生以下210円。開館時間は午前8時半~午後5時半。問い合わせは平戸オランダ商館(電0950.26.0636)へ。

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