1993年夏に全国制覇した父もうなる成長ぶり 龍野北・酒谷、父の母校・育英も倒し、打撃でチームをリード 高校野球兵庫大会

2回戦の育英戦で捕手のタッチをかいくぐり、生還する龍野北の酒谷倖紀(中央)=11日、高砂球場 

 偉大な父もうなる成長ぶりだった。龍野北の酒谷は、育英が1993年夏の甲子園大会で優勝した当時投手だった酒谷敏さん(46)の次男。今大会、父の母校を倒すなど過去最高の4回戦進出に並んだチームを、課題の打撃で引っ張った。

 元々はサッカー少年だったが、中学校では友人と野球部に入部。父が打撃投手となり、自宅庭で打ち込む日々が始まった。ただ敏さんはバッティングよりも、ボールを追う状況判断に非凡さを感じ「守備、走塁の選手」と言い聞かせた。

 大会が始まると、1回戦では延長タイブレークで決勝の2点適時打をマーク。2回戦が育英との対戦となり、敏さんは驚きつつも「受けたらやられるで」と積極性を指南。息子は助言通り果敢な走塁で生還してみせ、打っても2安打と殊勲星に大きく貢献した。

 1安打した神戸弘陵戦は大敗したが、酒谷は大会を振り返り「上出来」と笑みを見せた。全試合を観客席で見届けた敏さんは「黙々と練習してきた努力が、結果につながりうれしい」。父子の熱い夏が終わった。(初鹿野俊)

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