新しい投資のカタチ【貸付型クラファン】3つのメリット・デメリット

ネット証券やSNSの普及によって投資がより身近なものになり、スマホ1台あれば簡単に投資ができる時代が来ています。そんななか、注目を集めているのが新しい投資のカタチである「貸付(ファンド)型クラウドファンディング」です。

人気が高まっている理由は一体何でしょうか? ファイナンシャルプランナーで、証券外務員の資格を持つ筆者の経験も踏まえ、お伝えしていきます。


貸付(ファンド)型クラウドファンディングとは

クラウドファンディングにはモノやサービスなどを支援する購入型のほか、株式型や融資型、寄付型などいつくか種類があるのですが、今回は貸付(ファンド)型クラウドファンディングに特化したお話です。貸付型は、ファンド業者を通じて投資家が直接企業に融資ができる仕組みのことを指します。

企業側は融資を受ける際に期間と金利を設定するので、投資家は満期になれば元本に加え、融資期間中の分配金を受け取ることができます。企業の貸し倒れなど、返済が困難になるようなことがない限りは元本が満期時に戻ってくるため、比較的安定的な投資として人気を集めています。

貸付型のメリット・デメリット

では具体的に貸付型で投資すると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリットの1つ目は、何と言っても魅力的な利回り。現在の低金利時代、銀行の定期預金の金利は大手銀行で0.001%ほどしかない中で、貸付型は2%前後から高いものだと7~8%の利回りがつくこともあり、かなり魅力的と言えるでしょう。

2つ目は投資先を自身で選べる点です。つまり応援したい企業を自分で直接選ぶことができます。

そして3つ目は手軽さです。1円や1万円から投資ができるので、少額から手軽に始めることができます。

加えて意外と知られていないのが企業側のメリットです。実は貸付型で資金を集めるよりも、金融機関から融資を受けたほうが安く借りられるケースがあります。それでも貸付型を選ぶ理由は、何よりも企業側の認知度が上がるから。貸付型を通して企業の新サービスや事業内容を知ってもらうことで、ファンの獲得に繋げることができるのです。貸付型のなかには、企業の商品やサービスが優待としてついてくるファンドもあります。

貸付型のデメリットの1つ目は、元本保証ではありません。比較的安定的な投資とはいえ、投資先の企業の貸し倒れやファンド業者の倒産などにより、元本が返ってこない可能性があります。

2つ目は、基本的には途中で解約ができないことです。満期までの間に使う可能性のある資金では投資をしないようにしましょう。

3つ目は、必ず投資できるとは限らないこと。ファンド成立の最低金額を設定している場合、資金が集まらなければファンドは不成立となります。逆に人気が高いと、抽選や先着での申し込みになる場合もあり、早ければ数億の枠が数分でなくなってしまうこともあります。ただ、私が知る限りでは先着順のケースが多く、募集開始時間を把握しておけば投資できる可能性は十分にあると思います。

ファンドを見極めるポイント

いざ「投資をしたい!」と思っても、どういったファンドに投資をすればいいかの見極めが難しいですよね。そんな方に、良いファンドを見極めるポイントをお伝えしたいと思います。

まずは、利回りが高いことばかりを強調していないかどうか。確かに高い利回りは魅力的ですが、利回りが高いイコールそれだけリスクが高い運用をしている、ということになります。利回り以外の魅力もきちんと謳っているかを確認しましょう。くれぐれも利回りだけで判断しないようにしてくださいね。

そして投資先の企業について、まずは比較的リスクの少ない上場企業や有名企業から選ぶと安心です。例えば、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリが<約10ヵ月、2.0%、投資額に応じてポイント還元あり>、3大メガバンクの一つである株式会社三菱UFJ銀行も<約11ヵ月、1.0%>という条件で、貸付型を通じて資金調達をした実績があります。

最後に、投資先の企業だけではなくファンド業者の見極めも大切です。今までのファンド実績に加え、過去に貸し倒れがないか(ファンドの償還率)も確認しましょう。ファンドの償還率が100%であれば、今までのファンドは貸し倒れがなく全て返済されているという意味になります。過去の実績がすべてではありませんが、投資をする上で重要な判断基準になります。

貸付型が向いている人は?

貸付型は元本の変動がないため、株式などの値動きに慣れていない投資初心者や、安定的な運用を好む投資家にオススメです。初めて投資する際は少額かつ、期間が短めのファンドからスタートするといいでしょう。投資期間は短いもので数ヵ月から半年満期のものなどもあります。

また、投資経験が豊富にある方でも、リスク分散のためポートフォリオの一部に加えることもいいと思います。リスク分散のため、ファンド業者やファンドそのものの投資先をいくつかに分散して投資をしましょう。ちなみに私は資産の約10%を2つのファンド業者、7つの投資先に分散をして投資しています。投資比率に正解はありませんが、みなさまの参考になれば幸いです。


貸付(ファンド)型クラウドファンディングは、上手く使えば資産形成の強い味方になります。投資初心者はまずは少額かつ短期間から、投資経験者はポートフォリオの数%から10%を目安に始めるとよいのではないでしょうか。

なお貸付型に限らず、投資は自己責任です。「インフルエンサーがオススメしてたから」「SNSでいいと書いてあったから」などの理由ではなく、必ずご自身で判断し、納得した上で投資をするようにしましょう。

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