全国高校野球山形大会、4強出そろう 21日準決勝

〈山形商-羽黒〉6回裏羽黒2死、1番岡田優空が左越えソロ本塁打を放ち、5-2とリードを広げる=中山町・ヤマリョースタジアム山形

 第105回全国高校野球選手権記念山形大会は第9日の18日、中山町のヤマリョースタジアム山形(県野球場)で準々決勝の残り2試合を行い、日大山形と羽黒が勝って4強が出そろった。

 日大は2点を追う五回に1番清野隆之輔の3点本塁打で逆転。八回に2点差まで詰め寄られたが、直後に3者連続押し出し四球と8番菅井颯の左越え適時二塁打で5点を奪い、山形城北を14-7のコールドで退けた。羽黒は2点リードで迎えた六回に1番岡田優空のソロ本塁打で勢いづくと、一発攻勢で得点を重ね、山形商に9-2で八回コールド勝ちした。

 第10日の21日は、ヤマリョースタジアムで山形中央-東海大山形、日大-羽黒の準決勝2試合を行う。

【ヒーロー】流れ呼び込む、会心の一発 

 切り込み隊長の公式戦初本塁打が、一発攻勢を呼び込んだ。2点リードで迎えた羽黒の六回裏2死、1番岡田優空は真っすぐに狙いを絞り強振。打球は大きな弧を描いて左翼席へ飛び込んだ。「完璧だった」。この一発を口火に、チームは七、八回に計3本の本塁打を放ち、山形商を圧倒した。

 今春の県大会では「チームに貢献できなかった」。悔しさをバネに、最後の夏に向けて打撃フォーム改造に取り組んできた。打席でのテイクバックを小さくすることでボールを長く見られるようになり、確実性が向上。粘る山形商を相手に追加点が欲しい場面で、会心の一発に結びついた。

 成長したリードオフマンはこの日、4打席全てで本塁へ生還した。チームを勢いづける仕事ぶりに高清水球道監督は「安心して1番を任せられる」と絶大な信頼を寄せる。

 次は春の県大会準決勝でコールド負けを喫した日大山形と相まみえる。自慢の投手陣が打ち崩され、相手主戦の菅井颯に零封された苦い記憶がある。あの時とは違う―。試合巧者ぶりに磨きがかかったナインに恐れはない。同じ庄内の中学時代から菅井をライバル視していたという岡田は「1番打者として流れを引き寄せ、全員で勝ちに行く」。雪辱の舞台は整った。

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