長船じん肺第4陣訴訟 三菱重工に賠償命令 一部認めず原告側控訴へ 長崎地裁判決

判決を受け記者会見する原告団ら=長崎市桜町、県勤労福祉会館

 三菱重工業長崎造船所で働きじん肺になったとして、元下請け従業員2人と提訴後に亡くなった元下請け従業員1人の遺族が三菱重工(東京)に計約1億560万円の損害賠償を求めた三菱長船じん肺第4陣訴訟で、長崎地裁(天川博義裁判長)は18日、同社の安全配慮義務違反を認め、同社に元下請け従業員2人に対し計約1526万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 原告側は、一部請求が認められなかったとして控訴する方針を示した。
 元従業員4人が2019年に提訴し、1人は訴えを取り下げた。1人は亡くなり、遺族が引き継いだ。
 同地裁は、同社が下請け労働者に対し「粉じん作業従事者の生命・身体を保護すべき安全配慮義務を負うと認めるのが相当」と判断を示した。元従業員3人のうち、1人に1430万円、もう1人に約96万円の賠償を命じた。
 2人のじん肺罹患(りかん)を認定した。亡くなった元従業員について、じん肺と認定したが、合併症である続発性気管支炎の罹患を否定。同社に対する損害賠償請求権の消滅時効が成立しているとして、請求を退けた。
 じん肺と認定しなかった1人について、じん肺に準じる健康被害を認め、同造船所だけでなく他の事業所での作業による影響もあるとして賠償額を減額した。
 亡くなった元従業員側の請求を棄却されたことについて、横山巌弁護団長は「行政(長崎労基署)からじん肺だけでなく続発性気管支炎の罹患認定も受けている」と主張。原告側は「著しく不当」と声明を発表した。
 訴えを引き継いだ遺族の女性(62)は「差別としか取りようがない。父に申し訳ない」と話した。
 三菱重工は「主張が一定程度認められたものと受け止めている。今後の対応は判決文を精査して検討したい」としている。

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