11月、被爆者ら渡米 核廃絶「突破口に」 長崎県被爆者手帳友の会 市民と対話へ

11月の渡米計画について発表した(右から)山口さん、朝長さん、井原さん=長崎市役所

 長崎県被爆者手帳友の会(朝長万左男会長)は18日、会員の被爆者や被爆2、3世らでつくる訪問団を11月に米国へ派遣し、被爆証言講話や米市民との対話をする計画を発表した。核大国の政府が核兵器廃絶に向けた具体策を示せない中、草の根の働きかけを通じて機運を高める狙い。朝長会長は「政府を動かす突破口にしたい」と意気込む。
 10人程度の訪問団で、11月上旬から約2週間でローリー、シカゴ、ポートランドの3都市を巡る。各地で集会を開き、被爆者医療に従事してきた朝長会長の講演、被爆者による証言や紙芝居上演、米市民との意見交換などを予定している。朝長会長は11月末にニューヨークで始まる核兵器禁止条約第2回締約国会議にも参加するという。
 活動は米国内に暮らす長崎ゆかりの研究者や作家らが支援。現地メディアにも取材や報道を呼びかけ、米市民に広く訴えかける考えだ。渡航費や記録映像の制作費として計1千万円を集めるため、クラウドファンディングも今後募る。
 18日は朝長会長ら渡米する3人が長崎市内で会見。被爆2世の井原和洋会長補佐(65)は被爆者の高齢化を念頭に「プロジェクトを通じて被爆3世とのつながりを深め、核廃絶運動を次世代につなぐスタートにしたい」。同市出身で核廃絶を目指す若者団体「KNOW NUKES TOKYO(ノー・ニュークス・トーキョー)」に所属する大学生、山口雪乃さん(20)は「対話を大切にして生の声を取りこぼさずに持ち帰り、次に生かしたい」と抱負を語った。

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