長崎「黒い雨」調査を開始 被爆体験者の救済巡り

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は18日、国の指定地域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」の救済を巡り、放射性物質を含む「黒い雨」や灰の降下状況を調べるため厚生労働省の指示を受け、同館所蔵の被爆体験記約12万件の調査を開始したと発表した。
 長崎県と長崎市は2月、被爆地域以外での降雨に関する情報が含まれている可能性があるとして、被爆体験記と米原爆傷害調査委員会(ABCC)が実施した研究結果の調査分析を国に要望。厚労省は今月にも被爆体験記の調査分析に着手する方針を示していた。
 調査は▽原爆投下直後の長崎における雨など、条件に該当する記述がある被爆体験記のデータ抽出▽同館職員による体験記読み込みと記述の確認▽確認された情報の整理-の順で実施。同館によると、18日はデータ抽出のための準備を始めた。
 調査期間について、同省原子爆弾被爆者援護対策室は1年程度で完了を目指す方針を示しており、ABCCの研究結果の調査分析については「検討中」としている。

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